物流のアウトソーシングを検討しているものの、「自社のやり方が外部で再現できるのか」「品質は落ちないか」と踏み切れない──そんな声は少なくありません。特にEC事業では、出荷量の増減や独自の梱包要件など、自社固有の事情を抱えたまま委託先を探す難しさがあります。
本記事では、物流の外部委託によって課題を解決した4社の事例を、インタビュー動画とともに紹介します。各社が抱えていた課題、委託にあたって重視したこと、そして委託後に何が変わったのか。ぜひ、自社に近い課題がないか、あればどのようなソリューションで何が変わったのかを確認してみてください。
物流委託を決めた「きっかけ」は企業ごとに違う
物流委託を検討する理由は、企業の業種・規模・成長フェーズによってさまざまです。今回取材した4社も、それぞれ異なる課題を抱えていました。

【事例1】ゴッパ合同会社様 ── 出荷急増でも品質を落とさない委託設計
課題:出荷量の急増と、見えないコスト
グラフィックボードをはじめとするPC周辺機器をECで販売するゴッパ合同会社。出荷量の増加が明確に見えていたにもかかわらず、それまでECの出荷業務は社内で全て処理していました。空いている社員が集まって作業する体制だったため、「誰がどれだけの工数をかけたのか」が見えず、EC販売にかかるコストも利益も実は不透明な状態でした。
委託にあたって重視したこと:「内製と同じクオリティの維持」
高額商品を扱うからこそ、「箱を開けた時の満足度」「届いた時の丁寧さ」は譲れないポイントでした。オリジナルの箱にぴったり収めるこだわりや、商品ごとにシリアルを照合して保証書を貼付する独自工程があり、「この作業はなくならない」という前提のもとで、いかにミスなく運用できるかが最大の論点になりました。
委託先では、シリアル照合の範囲をカートン単位に区切り、一つ一つ人が作業する前提の上でも間違いが起きにくい運用フローを設計。「500件の大量出荷でも、受け取るお客様にとってはそれは”一つ”」──この認識を双方で共有したうえで品質を担保する体制を構築したといいます。
成果
委託によって毎月の請求が明確になり、物流コストの可視化を実現。社内では出荷作業に割いていた時間とリソースがなくなり、本来の業務であるものづくりに集中できる体制が整いました。
【事例2】リンクスインターナショナル様 ── 貨物破損「ほぼゼロ」を実現した輸送改善
課題:路線便の中継で破損が発生、繁忙期はリードタイムも悪化
PC関連機器の卸売を手がけるリンクスインターナショナル。配送の8〜9割を宅配便・路線便で手配していましたが、路線便は複数の中継拠点を経由するため、積み替えのたびに外装破損や中身のダメージが発生していました。破損が起これば返品対応や代品手配が必要になり、無駄な送料と事務負担が膨らみます。
繁忙期には通常の3〜4倍のボリュームで商品が動きます。しかし、専用のチャーター便をすぐに手配することは難しく、中継の多い路線便に頼らざるを得ない状況でした。手配・調整に時間がかかり、リードタイムは「1週間以内」と回答せざるを得ないこともあったといいます。
解決:混載便(自社輸送網)で中継回数を大幅削減
同社が依頼した物流事業者は、自社車両による輸送網を持っていました。複数荷主の荷物を自社拠点でまとめ、納品先へ直接配送する「混載便」を提案されたことが転機になります。路線便では何度も経由していた中継が、一回の仕分けで完結する仕組みです。この構造的な変化が、破損リスクを根本から下げるポイントになりました。
成果
導入後、貨物破損はほぼゼロに。以前は一度の配送で5個程度のダメージが出ることもあった状況から劇的に改善しました。コスト面でも路線便時代と比較して2〜4割の削減を実現。加えて、小ロットから大量出荷まで一社に依頼できる体制になったことで、窓口が一本化され、手配業務そのものが簡素化されました。
【事例3】LTLリレーション様 ── 3人体制から「何万個でも回る」物流基盤へ
課題:毎週群馬件まで通い、担当でもない3人が出荷を兼務
輸入雑貨を扱うLTLリレーションは、創業当初、商社の倉庫を間借りして、そこから出荷していました。倉庫の場所は群馬県。本社は東京・東日本橋。商品数と売上が伸びるにつれ、毎週群馬県まで通う頻度が限界に近づき、本来は出荷担当ではない3人のメンバーが出荷業務を兼務するという状態に追い込まれていました。
解決:関東拠点への移管とシステム連携
ec-NaviLinksを活用し、B2Bの出荷指示をエクセルで流し込むだけで完結する仕組みを構築しました。「本社のやりたいことを理解したうえで、運用を一緒に設計してくれた」という点が、パートナーとしての信頼につながったといいます。
成果
「何も考えずに売り上げを伸ばしてこられた」──この言葉が成果を端的に表しています。1日に何万個の出荷があっても対応できる体制が整い、物流費のデータも蓄積されたことで、円安下でもコスト構造が明確に把握できるようになりました。
【事例4】TOKIMEKU JAPAN様 ── 在庫管理の属人化を解消し、ギフトECの運用を仕組み化
課題:エクセル管理の限界と、ラッピング資材の欠品
ギフトECを展開するTOKIMEKU JAPAN。在庫連携がうまくいかず、「あるはず」の商品で「在庫がない」という事態も頻発。創業当時は在庫連携ががうまくいかず、時には在庫がないという事態も発生。注文が入ったのにお断りしなければならない事態が発生していました。表計算ソフトでの数量管理には人為的なズレがつきもので、ラッピング資材が1つなくなるだけで出荷エラーになることも。「良いサービスをしたいのに、逆にお客様のストレスになっている」という課題を抱えていました。
解決:OMS連携と資材管理の仕組み化
OMS(受注管理システム)のロジレスを導入し、これまでアナログで行っていた出荷指示をAPI連携で自動化。倉庫側から資材の残数を可視化し、一定量を下回るとアラートが出る仕組みを構築しました。売れる商品の在庫を多く確保し、動きの少ない商品の保管費を抑えるといった在庫配置の最適化にも着手しています。
成果
担当スタッフの頭の中にしかなかった情報が可視化され、周囲のメンバーも問題点を把握できるように。お客様へのお断りが激減し、ラッピングにかかるコストも初めて正確に把握できたことで、「今期はラッピングに何パーセントまでかけよう」といった予算設計も可能になりました。
4社の事例に共通する「うまくいく物流委託」の条件
業種も課題も異なる4社ですが、委託がうまく機能した背景にはいくつかの共通点があります。
1. 「なくせない工程」を前提に運用を設計している
ゴッパ合同会社のシリアル照合、TOKIMEKU JAPANのラッピングのように、自社の商品特性上どうしても省略できない工程があります。これを「なくす」のではなく「間違いが起きにくい仕組みにする」という発想で運用設計したことが、品質を維持したまま委託を成功させたポイントでした。
2. コストの「見える化」が委託の価値になっている
4社すべてに共通するのが、委託前はコスト構造が不透明だったという点です。社内で処理していた時は「誰がどれだけ工数をかけたか見えなかった」(ゴッパ合同会社)、「コストのところが細かく計算できていなかった」(LTL Relation)。物流を委託し、毎月の請求として数字が出てくることで、初めてコストが経営判断に使える情報になっています。
3. コミュニケーションが取れるパートナーを選んでいる
「本社のやりたいことを理解してくれる」(LTL Relation)、「提案がしやすく、情報共有もスムーズだった」(LTL Relation)、「こういう運用したらどうですかという提案がすぐもらえる」(TOKIMEKU JAPAN)──物流委託は一度契約すれば終わりではなく、運用しながら改善を重ねていくものです。その前提に立つと、日々のコミュニケーションの取りやすさはパートナー選定の重要な基準になります。
よくある質問
Q. 小規模な出荷量でも委託できますか?
今回取材したLTL Relationは、創業初期の3人体制から委託を開始し、事業の成長に合わせて出荷量を拡大しています。「今は小規模でも、成長を見据えて物流基盤を先に整えておく」という考え方は、スタートアップやEC事業者には参考になるはずです。
Q. 自社独自の梱包・検品ルールがありますが、対応できますか?
今回の事例では、ゴッパ合同会社のシリアル照合・保証書貼付、TOKIMEKU JAPANのギフトラッピングなど、企業固有の工程に合わせた運用設計が行われていました。「この作業はなくせない」という前提のもとで、いかにミスなく効率的に回すかを委託先と一緒に設計した点が共通しています。
Q. EC以外の出荷(卸・B2B)にも対応できますか?
今回の取材先では、EC・B2B双方に対応するケースが確認できました。LTL RelationではEC出荷に加えてB2Bの出荷指示もシステム連携で処理しており、リンクスインターナショナルでは小ロットから大量出荷まで一社で一括対応しています。
Q. 委託後、物流コストは下がりますか?
一概には言えませんが、リンクスインターナショナルでは輸送コスト2〜4割削減という結果が出ています。また、4社すべてが「コストが明確に見えるようになった」ことを成果として挙げていました。直接的なコスト削減だけでなく、可視化によって経営判断の精度が上がるという副次的な効果も見逃せません。
まとめ
本記事では、物流の外部委託によって課題を解決した4社の導入事例を紹介しました。
4社の課題はそれぞれ異なりますが、共通しているのは次の3点です。
・自社固有の工程を前提にした運用設計が品質維持のカギになる
・委託によるコストの可視化が、経営判断の精度を上げる
・日常的にコミュニケーションが取れるパートナー選びが重要
物流のアウトソーシングは、事業の成長フェーズに応じて柔軟に設計するものです。「今の体制では限界が見えてきた」「コスト構造を整理したい」とお考えの企業様は、SBフレームワークス社へ問い合わせてみてはいかがでしょうか。








物流委託を「コスト削減の手段」としてだけ捉えると、本質を見誤ります。今回の4社の事例に共通しているのは、委託を通じて「自社がやるべきこと」に集中できる環境を手に入れたという点です。
ゴッパ合同会社様はものづくりに、LTL Relation様は売上拡大に、TOKIMEKU JAPAN様は顧客体験の向上にリソースを振り向けられるようになりました。物流パートナーの役割は、単にモノを運ぶことではなく、事業の成長を物流の側面から支える基盤になることだと考えています。
「どこから手をつければいいかわからない」という段階からでも、現状の整理からお手伝いしています。