PCキッティングとは？作業内容や外部委託するメリットを解説

PCキッティングは、ユーザーがPCを利用する際に必要となる作業です。しかし、具体的に何をすればよいのかわからないと悩んでいる担当者の方もいるのではないでしょうか。

本記事ではPCキッティングの作業内容や、外部委託するメリットを解説します。

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PCキッティングとは

PCキッティングとは、PCを出荷時の状態からユーザーが業務で利用できる状態に設定することです。主に以下のようなタイミングで実施が必要になります。

• PCを新規で導入したとき
• 故障や機器更新などでPC本体を入れ替えたとき
• 部署異動や退職などでPCの使用者が変わるとき

ユーザーが対象のPCをはじめて利用するときに、キッティングする必要があると考えてよいでしょう。

キッティングとセットアップの違い

キッティングとセットアップの違いは、PC設定の作業範囲です。

	作業範囲
セットアップ	初期設定までの作業
キッティング	業務に必要な設定を行い、PCをすぐに利用できる状態にするまでの一連の作業

セットアップとは、主にOSやアプリのインストール・設定など、初期設定までの作業です。

一方キッティングは、業務でPCをすぐに利用できるようにするまでの一連の作業です。キッティングはPCの開梱作業から初期設定、プリンターなど周辺機器との接続やネットワーク環境の設定など作業範囲が多岐にわたります。

また、キッティングにはハードウェアキッティングという物理的に機器のパーツを交換・増設するような作業が含まれることがあります。

PCキッティングの作業手順・内容

PCのキッティングはPCを開梱後、下表のような手順で行います。

手順	作業内容
1.OSのインストール	自社業務に適したOSをPCにインストールする（代表的なOSにはWindows・MacOS・Chrome OS・Linuxなどがある）
2.ネットワーク設定	社内LANやWi-Fiなどの接続設定を行い、社内ネットワークへ接続できるようにする
3.ドメイン参加設定	同じドメインに参加しているユーザー同士で、ファイルやフォルダなどデータを共有できるようにする
4.各種ドライバーのインストール	プリンタードライバーやネットワークドライバーなどをインストールし、外部機器を使用できるようにする
5.ソフトウェアや業務アプリケーションのインストール・設定	市販のオフィス・スイートや、業務で使用する専用アプリケーションなどをインストール・設定する
6.セキュリティパッチの適用	Windows Updateなどを利用して、コンピューターにセキュリティ修正プログラムを適用する
7.ラベル貼り付け	IT資産管理を行うため、資産管理番号が記載されたラベルシールを各PCに貼り付けて管理台帳に記録する

上記の手順は一例です。作業の順番やどの設定を実施するかは、導入するPCの初期状態や利用用途により異なります。

PCキッティングを自社で実施する場合に必要な知識

PCキッティングを自社で行うには、基本的なIT知識だけでなく、作業の標準化や品質管理に関する知識も不可欠です。具体的には、以下の知識やスキルが求められます。

• OSのインストールや初期設定に関する知識（Windows／macOSなど）
• ネットワークの設定方法（IPアドレス、Wi-Fi、ドメイン参加など）
• 業務アプリケーションやドライバーのインストール・設定方法
• セキュリティパッチの適用
• ウイルス対策ソフトの導入
• クローニングやマスターレスキッティングに関する基本知識とツールの使い方
• ボリュームライセンスの管理
• インベントリ管理（資産管理ラベルの貼付、台帳管理など）

知識が不十分な状態で作業を進めると、設定ミスや情報漏えいのリスクが高まります。自社での対応に不安がある場合は、専門業者への依頼も検討しましょう。

• 更新日:2025/05/29

  投稿日:2025/05/29
  キッティング

  更新日: 2025/05/29 投稿日:2025/05/29

  キッティング代行サービスとは？依頼できる作業や利用するメリットを解説

PCキッティングは自動化できるのか？

PCキッティングは自動化が可能です。近年では、MDM（モバイルデバイス管理）ツールやクラウドサービスの普及により、作業負担を大幅に軽減できるようになりました。

主な自動化手法としては、マスターレスキッティングやゼロタッチキッティングが挙げられます。また、バッチ処理やPowerShellスクリプトを活用し、複数端末に対する設定やソフトウェアのインストールを一括で行うことも可能です。

ただし、自動化には高度な専門知識が求められます。PCキッティングに精通した担当者がいない場合、かえってトラブルを招くリスクがあるため注意が必要です。

PCキッティングの方法

PCキッティングには、主に以下の4つの方法があります。

• 手作業
• クローニング
• マスターレスキッティング
• ゼロタッチキッティング

各方法の特徴やメリット・デメリットを確認し、どの方法が自社に適しているか判断しましょう。

手作業

すぐにでも取り組みやすいのは、1台ずつ手作業でキッティングを行う方法です。手作業によるPCキッティングには、以下のメリット・デメリットがあります。

メリット	デメリット
・事前準備不要で、すぐに作業を開始できる ・PCごとに個別の設定ができる	・台数の増加に伴い作業時間と工程が増加する ・担当者によってPC設定の正確性などが異なる ・人的ミスが発生しやすい

手作業によるPCキッティングに、高度なスキルは必要ありません。事前準備も不要なため、OSやネットワーク、セキュリティについてなど、PCの基本的な知識があれば作業可能です。

一方、手作業は台数が多ければ多いほど時間がかかる、担当者の知識や練度によってキッティングの正確性が異なるなどのデメリットがあります。

また、手作業では人的ミスが発生しやすくなります。とくに、セキュリティ面に関する設定ミスは、不正アクセスによる情報漏えいやウイルス感染などにつながる恐れがあるため、細心の注意が必要です。

クローニング

クローニングは、はじめにもとになる１台のマスターPCを作成し、マスターPCに設定した内容を複数のPCにコピーする方法です。

クローニングによるPCキッティングのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット	デメリット
・イメージを機械的にコピーするため、作業品質が均一化できる ・PCが故障した場合でも代替機をすぐに用意できる	・専門知識が必要になる ・マスターイメージの作成に時間がかかる ・機種が異なる場合、マスターイメージを個別に作成する必要がある ・マスターPC作成時にミスがあると、すべてのPCで不具合が生じる可能性がある

クローニングは、大量のPCを一括で設定できる点がメリットです。マスターイメージと呼ばれる「設定を施したひな型」を機械的にコピーするため、人的ミスや正確性のばらつきを防げます。

しかし、マスターイメージの作成には専門知識が必要です。知識がないと作業が難しいため、自社内で対応できない場合は外部委託を検討するとよいでしょう。

マスターレスキッティング

マスターレスキッティングとは、マスターPCやイメージファイルを作成せず、クラウド上の設定情報を各端末に配信してキッティングを行う方法です。

MDM（モバイルデバイス管理）ツールや構成プロファイルを活用し、OSやアプリケーションの設定を自動化・標準化します。

マスターレスキッティングのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット	デメリット
・マスターイメージの作成が不要なため、事前準備の工数を削減できる ・ネットワーク経由で設定やアプリを配信でき、作業の標準化がしやすい ・テレワーク端末や全国拠点への展開にも対応しやすい ・設定変更やアップデートを一元管理しやすい	・導入にはMDMやクラウドサービスの整備が必要 ・ネットワーク接続や初期登録など、一部手作業が残る場合がある

クローニング方式と比較すると、マスターレスキッティングは柔軟性が高く、作業ミスやイメージ更新の手間を大幅に削減できます。そのため、中〜大規模なPC展開や定期的な構成変更が多い現場に向いています。

ゼロタッチキッティング

ゼロタッチキッティングとは、PCを開封してインターネットに接続するだけで、初期設定やアプリインストールが自動で完了するキッティング手法です。

Microsoft IntuneやJamfなどのMDM（モバイルデバイス管理）ツールを活用し、クラウド上の構成プロファイルによってキッティング作業を無人化できます。

ゼロタッチキッティングのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット	デメリット
・開梱後、電源を入れてネット接続するだけでキッティングが完了する ・拠点間の配布やテレワーク用PCの展開がスムーズにできる ・作業者が不要なため、人件費を大幅に削減できる ・MDMにより一元管理でき、運用後の設定変更やアプリ追加も容易にできる	・事前にMDM環境の整備と設定プロファイルの作成が必要 ・セキュリティ対策やポリシー設定のミスがあると一括で反映されてしまう ・PCのメーカーやモデルによっては、対応できないケースもある

近年では、PCメーカーが出荷前にMDM設定を反映する「Autopilot」や「Apple Business Manager」との連携も可能です。

ただし、初期設計やセキュリティポリシーが不十分なまま導入すると、大規模な設定ミスを招くリスクがあるため注意しましょう。

PCキッティングの注意点

PCキッティングの注意点は、以下のとおりです。

• 作業ミスや属人化による品質のばらつきが生じる可能性がある
• 事前にボリュームライセンスを購入する必要がある
• インベントリ情報や設定内容を管理する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

作業ミスや属人化による品質のばらつきが生じる可能性がある

社内でPCキッティングを実施する際は、作業ミスや属人化による品質のばらつきに注意が必要です。とくに手作業中心のキッティングでは、設定ミスや手順漏れが発生しやすくなります。

品質にばらつきが出ると、PCが配布された各部署で業務が滞る恐れがあり、サポート対応の負担増などの問題も発生しかねません。

作業ミスや品質低下を防ぐためには、作業手順を標準化しチェックリストやスクリプトを活用することが重要です。誰が作業しても一定の品質が保てる体制を構築しましょう。

事前にボリュームライセンスを購入する必要がある

クローニングは、マスターイメージを複数台にコピーするため、事前にボリュームライセンスを購入する必要があります。

ボリュームライセンスとは、複数台分のOSライセンスがひとまとめにされたものです。ボリュームライセンスを一つ購入することで、複数台分のライセンスを購入したことになります。

ボリュームライセンスを購入せずにクローニングをすると、ライセンス違反になるため注意が必要です。あわせてボリュームライセンスの利用可能上限も確認しておきましょう。

インベントリ情報や設定内容を管理する

PCキッティング後は、端末のインベントリ情報や設定内容の管理が不可欠です。シリアル番号や利用者、インストールアプリ、設定内容などを記録しておかないと、機器の所在が不明になったり、設定ミスの発見が遅れたりするリスクがあります。

とくに設定内容の記録がない場合、「どの端末に何を導入したか」「誰が使用しているか」を把握できず、トラブル発生時の対応が遅れる原因になります。

資産管理ラベルの貼付やログ保存、クラウド型管理ツールの活用など、端末情報と設定内容を一元管理する体制を整えることが重要です。

PCキッティングを外部委託するメリット

PCキッティングを自社で実施することは不可能ではありません。しかし、知識や時間、品質の担保などに課題があるため、外部委託がおすすめです。

ここではPCキッティングを外部委託する3つのメリットを紹介します。

正確性の高いキッティング作業が保証されている

正確性の高いキッティング作業が保証されている点は、PCキッティングサービスを活用する大きなメリットです。

キッティングは、使用する部署や業務内容に応じた設定をする必要があるため、その複雑さから作業漏れや設定ミスが発生しやすい傾向にあります。そのため、自社で行うよりもプロに外部委託したほうが品質を担保でき安心です。

とくにSSDへの換装や、グラフィックボードの追加といったハードウェアキッティングでは、物理的にPCケースを取り外して増設する機器を取りつける作業が必要です。

知識がないまま行うと接続不良やPCが故障してしまう可能性があるため、作業知識を有する委託業者に依頼するのがおすすめです。

業務の負担を軽減できる

PCのキッティングを自社で行う場合、従業員が本来の業務の合間に対応することになります。外部委託すれば時間や労力をキッティング作業に割く必要がないため、業務負担の軽減が可能です。

とくに、OSサポート期限切れや、機器更新のタイミングで全社一斉にPCを入れ替える場合は、大量のPCを短期間で集中的にキッティングすることになり、業務負担が大きくなります。

キッティング作業を外部委託することで業務負担が軽減され、コア業務に注力できるようになるため、生産性向上が期待できます。

スピーディーなキッティング作業が期待できる

PCキッティングサービスを利用すると、専門知識を有するプロが対応するため、スピーディーなキッティング作業が期待できます。大量のキッティングでも大幅な時間短縮が可能になる点は、外部委託を利用する大きなメリットです。

自社でキッティングを行う場合、PCの台数が多いと膨大なリソースを要します。また、作業スペースの確保も必要です。

時間や場所などの制限がある中で、キッティング作業をスムーズに進めるのは容易ではありません。そのため、スピーディーにキッティングを完了させたい場合は外部委託を検討するとよいでしょう。

PCキッティングサービスを活用してPCの導入や入れ替えを効率的に進めよう

PCキッティングの方法には手作業とクローニングがあり、それぞれメリット・デメリットがあります。

自社でキッティングを行う場合、PCの台数が多いとその分多くのリソースを割く必要があります。キッティングが必要なPCの台数が多い場合は外部委託がおすすめです。

外部委託すれば、従業員の負担が軽減しコア業務に注力できるだけでなく、正確性の高いキッティング作業が保証されます。PCキッティングを検討している場合は、ぜひSBフレームワークスにご相談ください。

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