キッティングとは?作業方法や業務委託するメリットを解説
監修者プロフィール
SBフレームワークス マーケティング/広報
玉橋 丈児
物流×輸配送×テクニカルソリューションで、お客様の課題解決を目指すSBフレームワークスのマーケティング担当。テクニカルソリューション分野での実務経験を活かして、弊社のサービスや、業界の話題などを解説いたします。物流技術管理士補。
キッティングとは、PCやスマホなどのデバイスを業務で利用できるように設定する作業全般のことです。キッティングには時間と手間がかかるため、効率的に作業を進めることが重要です。
しかし、効率化する方法が分からず悩んでいる企業担当者の方もいるのではないでしょうか。
本記事では、自社で行うキッティングの作業方法や効率的に行う方法、業務委託するメリットを解説します。
なお、キッティングを外注したいと考えている場合は、SBフレームワークスにご相談ください。年間30万台のキッティング実績から、お客様にとって最適な方法でのキッティングをご提案いたします。
目次
キッティングとは
キッティングとは、PCやスマホなどを業務ですぐに使える状態にする作業です。具体的には、以下のような作業を行います。
- 開梱・通電確認
- BIOSのセットアップ
- 業務で使用するソフトウェアのインストール
- セキュリティ設定
- アカウントの設定
- データの移行
- プリンターなど周辺機器の設定
- 管理ラベルの貼り付けとIT資産管理システムへの登録
一般的にキッティングは、デバイスの入れ替え時や既存システムの定期メンテナンス時、新入社員の入社時などのタイミングで行うことが多い傾向にあります。従業員が業務をスムーズに遂行するために欠かせない作業です。
キッティングとセットアップの違い
キッティングとセットアップは、以下のように作業範囲が異なります。
セットアップ | PCやスマホなどのデバイスを起動して使える状態にするまでの初期設定 |
キッティング | デバイスのセットアップだけでなく、業務に必要な設定まで行う作業 |
セットアップだけではデバイスを利用できる状態にはならないため、すぐに業務で利用できる状態にするにはキッティングを行う必要があります。
次の項目からはPCのキッティング方法について、詳しく解説してまいります。
キッティングを自社で行う方法
自社でキッティングを行う方法は、以下の2つがあります。
- 手作業で行う方法
- クローニングで行う方法
それぞれの方法について解説します。
手作業で行う
もっともシンプルなのが、デバイスの各種設定を1台ずつ個別に行う方法です。デバイスの台数が少ない場合や、異なる機種をキッティングする場合に適しており、手軽かつ簡単に作業を開始できます。
手作業によるキッティングのメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・事前準備不要で、すぐに作業を開始できる ・各デバイスで個別の設定ができる |
デメリット | ・台数の増加に伴い作業時間と工程が増加する ・担当者によってデバイス設定の正確性などが異なる ・人的ミスが発生しやすい |
手作業でのキッティングには、1台につき2〜3時間程度を要します。台数が増えるにつれて作業時間も増加するため、デバイスを大量にキッティングする場合には適しません。
また、属人的な作業になるため、担当者の技術によっては設定漏れやミスなどでデバイスの動作にバラつきが生じる恐れがあります。
クローニングで行う
クローニングは、マスターPCをもとに複数のデバイスに設定や情報をコピーする方法です。マスターPCとは、複数のPCにソフトウェアを一括でインストールするための基準となるPCです。
クローニングは、一度に大量のデバイスをキッティングしたい場合に向いています。クローニングのメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・イメージを機械的にコピーするため、作業品質が均一化できる ・デバイスが故障した場合でも代替機をすぐに用意できる |
デメリット | ・専門知識が必要になる ・マスターPCの作成に時間がかかる ・機種が異なる場合、マスターイメージを個別に作成する必要がある ・マスターPC作成時にミスがあると、すべてのデバイスで不具合が生じる可能性がある |
クローニングを行うには、デバイスのコピーもととなるマスターPCをあらかじめ準備する必要があります。マスターPCの作成には、正しく機能するか検証する期間も必要なので数週間以上を要します。
キッティングの作業手順
キッティングの作業手順と具体的な作業内容を、詳しく確認していきましょう。
手作業で行う場合
手作業でのキッティングは、以下の手順で行います。
作業手順 | 作業内容 |
1.開梱し同梱品を確認 | マニュアルやケーブル、アダプターなどの周辺機器に不足がないか確認する |
2.デバイスを起動し出荷時の状態であるか確認 | デバイスを起動し、初期化されているか、工場出荷時の状態であるかを確認する |
3.周辺機器を接続 | キーボードやマウス、ディスプレイなどの周辺機器を接続する |
4.OSのセットアップ・各種設定 | ・OSを画面に表示される手順に従いセットアップする ・ユーザIDやログインパスワードなどを設定する |
5.必要なアプリやソフトウェアをインストール | 業務に使うアプリやセキュリティソフトをインストールし、必要に応じてライセンスの認証を行う |
6.ネットワークを設定 | 職場環境にあわせて、プロキシやWi-Fiなどの接続設定をする |
7.デバイスの動作確認 | デバイスやインストールしたソフトウェアが正しく機能しているか確認する |
8.IT資産管理台帳への記載と資産管理ラベルの貼りつけ | 資産番号や購入日、使用部門などの情報を管理台帳へ記載し、管理番号を記入したラベルをデバイスに貼りつける |
クローニングで行う場合
クローニングでのキッティングは、以下の手順で行います。
作業手順 | 作業内容 |
1.マスターPCを作成 | 1台のPCに必要なソフトウェアをインストールし、コピーのもととなるPCを作成する |
2.Sysprepによる設定 | OS付属のSysprepツールを使い、マスターPC固有の情報を削除する |
3.マスターイメージを抽出 | クローニングツールを使い、マスターPCの状態をコピーする |
4.BIOSのブートオーダーを変更 | BIOSの設定で、新しいドライブが最初に起動するように設定する |
5.クローニングを実施 | マスターイメージを各PCにコピーする |
6.個別の設定 | 各PC固有の設定や追加のソフトウェアがあればインストールする |
7.PCの動作確認 | 各PCを起動し、本体やインストールしたソフトウェアが正しく機能しているか確認する |
8.IT資産管理システムへの登録と資産管理ラベルの貼りつけ | 資産番号や購入日、使用部門などの情報を管理台帳へ記載し、管理番号を記入したラベルをPCに貼りつける |
クローニングには、OSのボリュームライセンスの購入が必要です。購入前にOSをコピーすると、ライセンス違反となります。クローニングする台数分のOSボリュームライセンスを事前に購入しておきましょう。
キッティングに必要な知識・資格
キッティングには、主に以下のような知識が必要です。
- PCの基本的な操作の知識
- OSの知識
- ネットワークの知識
- セキュリティの知識
キッティングに、特別な資格や高度なスキルは必要ありません。ただし、PCの基本的な操作やネットワークに関する最低限の知識は必要です。
また、クローニングを行う場合は、デバイスの設定やライセンスの認証などに関する専門的な知識が必要となることがあります。
社内でキッティングを主導するポジションに就く場合は、「ITパスポート」や「基本情報技術者」などのIT系資格を取得し、基本的なスキルを身につけるとよいでしょう。
キッティングを効率的に行う方法
キッティングを効率的に行う方法には、以下の4つが挙げられます。
- キッティング代行サービスを活用する
- キッティングの自動化ツールを導入する
- キッティングの作業手順をマニュアル化する
- 定期的に作業プロセスを見直し改善策を実施する
それぞれの方法について詳しく解説します。
キッティング代行サービスを活用する
キッティングを効率的に行うには、キッティング代行サービスの利用がおすすめです。主に以下のような作業を代行してくれます。
- クローニングの設定
- アクティベーション作業
- セキュリティ設定
- ネットワークの初期設定
- マニュアルの作成や個別の設定
キッティング代行業者は、自動化ツールを用いることで大量のデバイスでも短時間でキッティングが可能です。
そのため、使用しているデバイスの台数が多い場合、自社でキッティングをするよりも早く業務を開始できるため、生産性の向上につながります。
なお、SBフレームワークスでは、さまざまな業種・業態に合わせたキッティングサービスをご提供しています。サービスの詳細や料金について知りたい場合は、お気軽にご相談ください。
キッティングの自動化ツールを導入する
キッティングの自動化ツールを導入すると、作業時間と手間を大幅に削減可能です。
キッティング自動化ツールは、1台のデバイスにインストールして使用します。ツールを使ってマスターPCを作成した後、キッティング対象のデバイスにイメージを一斉配布します。
手作業でのクローニングよりも人的ミスが発生しづらく、短時間でのキッティングが可能です。
自動化ツールの主な機能は、以下などが挙げられます。
- マスターイメージの作成と複製
- デバイスごとの個別設定
- イメージの高速配布
- 管理コンソール
- バックアップと復元
高速配布機能は、多数のデバイスにサーバーからイメージを一斉送信でき、作業時間をより短縮できます。
また、管理コンソールでは、コンピューターの仕様や空き容量、OS更新プログラムのインストール状況などの一元管理が可能です。検証で使用するデバイスの一括設定もできるため、1台ずつ設定する必要がありません。
さらに、ツールはバックアップ用途としても活用できます。トラブルがあれば簡単に復元できるため、効率的なキッティングが可能です。
キッティングの作業手順をマニュアル化する
慣れない作業で迷いが生じると時間をロスしてしまいます。効率的にキッティングを行うために、キッティングの作業手順をマニュアル化しておきましょう。
マニュアルに沿って作業すれば、設定漏れなどの人的ミスを削減できます。加えて、品質のバラつきも抑えられます。
定期的に作業プロセスを見直し改善策を実施する
キッティングの作業プロセスを定期的に見直し、問題点の改善を図ることで効率化につながります。従業員の意見やアイデアを積極的に取り入れ、継続的に改善策を実施しましょう。
また、より効率的に作業ができるよう、最新技術の情報収集に努めることも大切です。効率化の手法を新たに見出せれば、時間や労力、コスト削減に貢献できる可能性があります。
キッティング作業効率の向上やデバイスの品質を均一化するために、社内で勉強会を開催したり講習会に参加したりするのもよいでしょう。
キッティング代行サービスを活用するメリット
キッティング代行サービスの活用には、以下のようなさまざまなメリットがあります。
- 作業の負担を軽減できる
- 機器の品質を均一に保てる
- 適切なセキュリティ対策ができる
- さまざまな端末に適切に対応できる
- 作業場所を確保する必要がない
それぞれついて詳しく解説します。
作業の負担を軽減できる
キッティング代行サービスを活用すれば、自社での作業負担を軽減できます。自社でのキッティングはOSの更新時やデバイスの新規導入ごとに対応が必要で、多くの人員と時間を要しますが、その作業を外部に委託できるのがメリットです。
キッティング代行サービスは、キッティングのプロが作業を行うため高品質かつ短期間で作業を完了できます。
機器の品質を均一に保てる
キッティング代行サービスを活用すると、デバイスを一定の品質に保てます。
自社でのキッティングは、作業を行う担当者の技術や経験により品質にバラつきが生じる可能性があります。一方キッティング代行サービスは、ツールを使用し自動でキッティングを行うため、人的ミスを抑制し作業品質の均一化が可能です。
また、初期不良やトラブルに柔軟に対応してもらえるため、高い品質を保てます。
適切なセキュリティ対策ができる
キッティング代行サービスを利用すると、デバイスごとに適したセキュリティ対策をしてもらえます。具体的には、以下のようなセキュリティ対策を行います。
- パスワード策定
- ウイルス対策ソフトの導入
- デバイスの暗号化作業
- ウイルス感染状況の監視と回復
セキュリティ対策が不十分だと、情報漏えいのリスクが高まります。さらに、ウイルス感染やサイバー攻撃の被害に遭う恐れもあります。
セキュリティ面に不安がある場合は、キッティング代行サービスに依頼しトラブルを未然に防ぎましょう。
さまざまな端末に適切に対応できる
PC以外にもスマホやタブレットなど、さまざまなデバイスに対応してくれる点も、キッティング代行サービスのメリットです。
キッティングの方法はデバイスの種類やOSごとに異なるため、自社で対応すると膨大な時間と手間がかかります。多様な機種や複数のOSに対応する必要がある場合は、キッティング代行サービスの利用がおすすめです。
作業場所を確保する必要がない
キッティング代行サービスに依頼すると、デバイスの保管場所や作業場所を確保する必要がなくなります。
キッティング作業にはデバイスや関連機器を置くためのスペースが必要であり、複数台のデバイスを設定する場合には、広いスペースを確保しなければなりません。加えて、設定やインストールのたびにデバイスを箱から出し入れするため、保管場所の確保も必要です。
十分なスペースが確保できない場合は、キッティング代行サービスの利用がおすすめです。
キッティングサービスを選ぶ際のチェックポイント
キッティング代行サービスを選ぶ際は、以下の5つを確認しましょう。
- 料金
- 対応可能台数
- 対応期間
- サポート内容
- 実績
料金は、一般的に台数が多いほど1台あたりの費用が安くなります。キッティングを行うデバイスの台数が少ないようであれば、自社で対応する場合の人件費やリソースと比較して検討しましょう。
また、最低依頼台数が「10台以上」などと定められている業者と、1台から対応可能な業者があります。大量のデバイスのキッティングを依頼する際は、あらかじめ対応可能か確認しておくとよいでしょう。
対応期間は、依頼するデバイスの台数や作業内容によって異なります。事前にどのくらいの期間を要するか確認しておきましょう。
サポート内容や提供サービスは、業者によって異なります。そのため、依頼したい作業を明確にしておくことが重要です。
キッティングサービスを利用して負担を軽減しよう
自社でのキッティング方法には、手作業とクローニングがあります。どちらの方法も、1台あたり数時間を要します。また、設定ミスがないように細心の注意を払って作業をする必要があります。
キッティングの負担を軽減し効率化を図るには、キッティング代行サービスの利用がおすすめです。キッティング代行サービスを利用すれば、時間も労力も削減できます。
また、適切なセキュリティ対策を行ってくれるため、ウイルス感染や情報漏えいのリスクを抑えられます。
キッティングの外注を検討している場合は、SBフレームワークスにご相談ください。年間30万台のキッティング実績から、お客様にとって最適な方法でのキッティングをご提案いたします。
1台から数千台規模まで対応可能なので、まずはお気軽にお問い合わせください。
監修者プロフィール
SBフレームワークス マーケティング/広報
玉橋 丈児
物流×輸配送×テクニカルソリューションで、お客様の課題解決を目指すSBフレームワークスのマーケティング担当。テクニカルソリューション分野での実務経験を活かして、弊社のサービスや、業界の話題などを解説いたします。物流技術管理士補。
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