在庫管理とは?やり方や効率化するためのポイントを解説
監修者プロフィール
SBフレームワークス マーケティング/広報
玉橋 丈児
物流×輸配送×テクニカルソリューションで、お客様の課題解決を目指すSBフレームワークスのマーケティング担当。テクニカルソリューション分野での実務経験を活かして、弊社のサービスや、業界の話題などを解説いたします。物流技術管理士補。
在庫管理はコスト削減や業務効率化、顧客満足度の向上につながる重要な業務です。そのため、必要な量を必要なタイミングで供給できるよう、在庫の過不足を防ぎ最適化しておくことが大切です。
本記事では、在庫管理のやり方や効率化するためのポイントについて解説します。
在庫管理に関してお悩みの場合は、SBフレームワークスにご相談ください。弊社では、長期滞留在庫の可視化による課題の洗い出し・改善策のご提案など、在庫管理の最適化に向けた支援が可能です。まずはお気軽にご相談ください。
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目次
在庫管理とは
在庫管理とは、企業が保有する在庫品(商品や原材料など)を、状況に応じて最適な量や状態で管理することです。入出庫管理や棚卸しなどの業務により、在庫の数量や保管状況を把握します。
過剰な在庫は保管費用の増加につながります。一方、在庫が不足していると販売機会の損失を招きかねません。
そのため、在庫管理システムなどを活用して精度の高い管理を行い、安定した業務運営を目指す必要があります。
在庫管理の4原則
適切に在庫管理を行うためには、以下の4原則を理解し実践することが大切です。
- 在庫の所在がすぐにわかる
- 在庫の数量がすぐにわかる
- アクションの緊急度がわかる
- 先入れ先出しができる
それぞれの内容について詳しく解説します。
在庫の所在がすぐにわかる
在庫管理では、在庫の保管場所を明確にし、いつでも迅速に確認できる状態に整えておくことが重要です。在庫の保管場所をわかりやすくしておくことで、以下のような問題が発生するリスクを防げます。
- 在庫を探すだけで無駄な時間がかかる
- 在庫が紛失していても気づかず、顧客対応に支障が出る
たとえば保管場所に棚番号を振り分けてロケーション管理し、ピッキング用のバーコードや棚看板などを設置すると、ピッキングや入出庫作業の効率が上がり作業時間を短縮できます。
在庫の数量がすぐにわかる
在庫管理では、在庫の数量をリアルタイムで確認できる状態が理想的です。数量をリアルタイムで把握することで、過剰在庫や欠品を防ぎ適正在庫を維持できるからです。
定期的な棚卸しや物流管理システムの活用などにより、在庫管理の精度を高めることが大切です。
アクションの緊急度がわかる
在庫状況に応じてアクションの優先順位を明確にし、迅速に対応できる体制を整えることが大切です。対応が遅れると販売機会を逃したり、過剰に在庫を抱えてしまったりするリスクがあるからです。
とくに、売れ行きのよい商品や発注リードタイムが長い商品の管理が曖昧だと、適切な在庫量の維持が難しくなります。
アクションの優先順位を設定するには、たとえば以下のようなポイントを意識する必要があります。
- 在庫数が少ない商品が数種類ある場合、売れ行きのよい商品を優先的に発注する
- 発注リードタイムが長い(補充に時間がかかる)商品は早めに発注する
- 季節やキャンペーンなど、需要が一時的に増加する商品を予測して発注する
販売データなどを活用し、優先順位を適切に設定しましょう。
先入れ先出しができる
先入れ先出しは、古い在庫から順に出庫し商品の劣化を防ぐ在庫管理方法です。賞味期限や使用期限が決まっている商品(食品や医薬品など)の管理に有効で、廃棄ロスの削減につながります。
身近な例は、コンビニエンスストアの飲料用冷蔵庫です。新しい商品をバックヤード側から補充し、消費者は売場側から賞味期限が近い商品(古い在庫)を手に取る仕組みとなっています。
一方で、商品によっては先入れ先出しが適さない場合もあります。たとえば、単価が頻繁に変動する商品やファッション・季節商品などは、新しい在庫を優先的に販売する必要があるため、別の管理方法が適切です。
在庫管理の主な目的
在庫管理の主な目的は以下の3つです。
- 欠品や過剰在庫の防止
- 業務効率化による生産性の向上
- キャッシュフローの改善
それぞれの目的について解説します。
欠品や過剰在庫の防止
倉庫の整理整頓や棚卸しを行い、在庫がどこに、いくつあるかを見える化することで、予期せぬ欠品や過剰在庫の防止が可能です。
在庫が欠品し顧客の求める商品が用意できないと、売上の減少や顧客満足度の低下につながります。
一方、在庫が過剰になると保管スペースが圧迫され、保管コストが増加します。また、食品や医薬品のように劣化する商品の場合は、廃棄コストが発生する場合もあるでしょう。
これらの状況を防ぐためには在庫の見える化を徹底し、適切な発注量を維持することが大切です。
業務効率化による生産性の向上
在庫管理を適切に行い業務が効率化されれば、生産性の向上が期待できます。在庫確認や棚卸しにかかる時間が削減され、コア業務に集中できる時間が増えるためです。
たとえば、バーコードやQRコードを活用し、在庫の入出庫記録を自動化することで、作業時間を短縮できます。在庫管理の効率化は、企業全体の生産性の向上につながります。
キャッシュフローの改善
在庫管理の徹底は、キャッシュフローの改善につながります。在庫を適正に管理することで、過剰在庫や長期にわたり滞留している在庫を減らせるからです。
過剰在庫や滞留在庫を抑え、在庫調達のための借入金や在庫の保管コストなどが削減されれば、事業継続のための資金を確保できます。
在庫管理の基本的な流れ・やり方
在庫管理の基本的な流れは、以下のとおりです。
- 棚卸し
- 入出庫管理
- 発注
それぞれの内容について解説します。
1.棚卸し
棚卸しは現在の在庫数量や状態を確認し、在庫管理システムに記録されたデータと照らし合わせ、実際の在庫とデータが一致しているかを調べる作業です。定期的な棚卸しは、在庫の過不足や不良在庫の発見につながります。
棚卸し方法には「定期棚卸し」と「循環棚卸し」の2種類があります。
棚卸し方法 | 特徴 |
定期棚卸し | ・月次、四半期、年次などの決まった頻度で一斉に在庫を確認する方法 ・すべての商品の在庫状況を短期間で把握できる |
循環棚卸し | ・カテゴリーやエリアごとに棚卸しをする方法 ・商品の回転率や管理規模に応じて毎日~週1回の実施が一般的 ・日常業務の中で少しずつ行うため、入出庫業務を止めずに棚卸しを進められる |
自社に適した方法で棚卸しを実施しましょう。
2.入出庫管理
入出庫管理は、入庫(仕入れや製品の受け入れ)や出庫(販売や移動)のたびに記録を残す作業です。入出庫管理をすることで在庫状況をリアルタイムで把握でき、欠品や過剰在庫のリスクを抑えられます。
入出庫管理では、仕入れ時や出庫時における正確な数量の記録を徹底し、在庫データを常に最新に保つことが重要です。
3.発注
発注は商品や資材を補充する作業です。需要に見合った適切な数量を、適切なタイミングで発注することで欠品や過剰在庫を防げます。
発注の方法には、主に「発注点管理」と「定期発注」があります。
発注方法 | 概要 | 適した商品 |
発注点管理 | ・在庫が一定量を下回ったときに発注する方法 ・欠品リスクを抑えながら必要最小限の在庫量を維持できる | 売れ筋商品や消耗品など |
定期発注 | ・決まった頻度で発注する方法 ・発注業務のスケジュール化によって管理の手間を減らせる | 安定した需要がある商品 |
発注点管理と定期発注の特性を理解し、安定した供給体制を構築しましょう。
在庫管理の方法
在庫管理の主な方法には、以下などが挙げられます。
- 在庫管理システムを利用する
- 表計算ソフトで在庫管理表を作成して管理する
それぞれの方法について解説します。
在庫管理システムを利用する
在庫管理システムは、在庫の効率的な管理に欠かせないツールです。入出庫や棚卸しなどの業務を効率化し、正確な在庫把握を可能にします。
在庫管理システムの主な機能としては、以下などが挙げられます。
機能 | 概要 |
在庫一覧機能 | 商品の種類・保管場所ごとの在庫数を管理する機能 |
入出庫管理機能 | 商品の入出庫を記録する機能 |
検品機能 | 入出庫時に商品の数量や品目に間違いがないかを確認する機能 |
棚卸し機能 | 在庫管理システム上のデータと実際の在庫数に差異がないか確認する機能 |
返品管理機能 | 返品があった際に元の出荷情報と照合し、データの確認や返品在庫としての再入荷を支援する機能 |
在庫分析機能 | 過去と現在のデータをもとに適正在庫を算出する機能 |
自社の業務内容や規模に適した在庫管理システムを選択し、在庫管理を最適化しましょう。
表計算ソフトで在庫管理表を作成して管理する
表計算ソフトを用いた在庫管理は、多くの企業で採用されている方法です。表計算ソフトでの在庫管理には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | ・広く企業で使われており、使い慣れている人が多い ・フリーで公開されているインターネット上のテンプレートを活用することで、導入の手間を少なくできる ・業務に合わせてカスタマイズしやすい |
デメリット | ・手作業で入力するため、入力ミスなどの人的ミスが発生しやすい ・リアルタイムでの在庫把握が難しい ・作業が特定の人に属人化しやすい ・データ量が増えると管理しづらい |
表計算ソフトを用いた在庫管理は初期投資が少なく、業務内容に応じた柔軟な運用が可能です。
ただし、データの正確性や作業の効率性に課題があるため、業務規模が拡大するにつれて限界が生じる場合があります。
精度の高い管理が必要な場合には、在庫管理システムへの移行を検討するとよいでしょう。
在庫管理システムを活用するメリット
在庫管理システムを活用するメリットには、以下などが挙げられます。
- 作業を効率化できる
- リアルタイムで在庫を把握できる
- 需要予測の精度を向上できる
それぞれのメリットについて解説します。
作業を効率化できる
在庫管理システムを活用することで、作業を効率化できます。在庫管理システムでは、商品や資材に貼り付けたバーコードをスキャンすることで、入出庫や在庫状態などのデータを簡単に登録できるため、入力の手間が削減されます。
さらに、商品名や商品番号を手動で入力することが大幅に減り、入力ミスを予防できる点もメリットです。
リアルタイムで在庫を把握できる
在庫管理システムを利用すれば、リアルタイムで在庫状況を確認できるようになります。在庫データがリアルタイムで更新されることで、発注や商品の移動など、次に起こすべきアクションを検討しやすくなり、欠品や過剰在庫を防げます。
また、物流倉庫や店舗などの各拠点の在庫状況を確認できるため、倉庫から店舗、倉庫間などの在庫の移動を適切なタイミングで行うことが可能です。
需要予測の精度を向上できる
在庫管理システムを活用することで、需要予測の精度を高められます。過去の販売データにもとづいた需要予測ができるようになるからです。
需要予測精度の向上により、以下のようなメリットが期待できます。
- 売れ筋商品の欠品を防げる
- 在庫回転率が最適化される
- 過剰に在庫を抱えるリスクが減少しコスト削減につながる
また、需要予測の精度が高まれば、繁忙期や季節による需要の変動にも対応しやすくなるため、無駄な発注や欠品を防げます。
在庫管理を効率化するためのポイント
在庫管理を効率化するために、以下のようなことが推奨されます。
- 在庫回転率を計算する
- ABC分析で優先順位をつける
- バーコードやRFIDタグを活用する
それぞれの内容について解説します。
在庫回転率を計算する
在庫回転率は、一定期間内に在庫がどの程度入れ替わったかを示す指標です。在庫回転率を算出することで、商品の売れ行きや在庫の適正度を把握できるため、在庫管理の効率化につながります。
在庫回転率は以下の式で計算できます。
用途 | 計算式 |
財務指標として用いる場合 | 在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫金額 |
商品単位での売れ行きを把握する場合 | 在庫回転率 = 販売数量 ÷ 平均在庫数量 |
在庫管理の効率化が目的の場合は、在庫数量をもとに計算する方法が適切です。金額をもとにした計算方法は、商品の売れ行き以外の要素(単価のばらつきや原材料価格の変動など)の影響も受けるため、実態を捉えにくい側面があるからです。
在庫回転率が高い商品は売れ行きが良く短期間で多数売れるため、多めに発注することで欠品リスクを減らせます。
逆に在庫回転率が低い商品は売れ行きが悪いため、セールを行ったり仕入れ量を調整したりすることで過剰在庫を防げます。
適正な在庫回転率は、業種や商品によって異なります。自社の業種や商品の特性に応じた基準を設定し、定期的に確認することが大切です。
ABC分析で優先順位をつける
ABC分析は、在庫を売上や利益貢献度にもとづいてA・B・Cの3つのグループに分類し、管理の優先順位をつける手法です。優先度が高いAクラス商品の管理に多くのリソースを投入し、B、Cクラスの順にリソースを抑えることで、在庫管理の効率化が図れます。
一般的なABC分析の分類基準は、以下のとおりです。
クラス | 内容 |
Aクラス(優先度高い) | ・全体の売上や利益の70~80%を占める、売上貢献度が高い商品 ・在庫が欠品しないよう多めに在庫を確保する |
Bクラス(優先度中程度) | ・全体の売上や利益の15~25%を占める、売上貢献度が中程度の商品 ・発注点管理や定期発注を組み合わせて適切な在庫量を維持する |
Cクラス(優先度低い) | ・全体の売上や利益の5~10%を占める、売上貢献度が最も低い商品 ・需要を満たせる程度の最低限の在庫量に留める |
季節商品やトレンド商品などは売れ行きが変動しやすいため、分類基準(クラス)を定期的に見直す必要があります。
バーコードやRFIDタグを活用する
バーコードやRFIDタグを活用して在庫管理をすることで、入力作業の効率化と管理精度の向上が期待できます。
商品ごとにバーコードやRFIDタグを貼り付け、専用のスキャナーで読み取ることで手入力が不要になり、作業時間の短縮やミスの削減につながります。
また、「商品AとBのセット品」「1箱単位で出荷」などの管理用のバーコードを印字することで、複雑な在庫管理も効率化することが可能です。
バーコードは、ほとんどの在庫管理システムと連動できます。低コストで汎用性が高いため、小規模な在庫管理に適しています。
RFIDタグは一括スキャンが可能なので、作業効率をさらに向上できます。大量の商品の在庫管理をする場合は、RFIDタグの使用を検討するとよいでしょう。
在庫管理を効率化して利益向上を実現しよう
在庫管理を適切に行うことは、企業全体の生産性向上につながります。商品の入出庫の管理方法や発注方法などを見直して、改善すべき点を確認しましょう。
また、在庫管理システムやバーコード・RFIDタグを活用すれば、在庫管理の作業効率が高まります。在庫管理を効率化して利益向上を目指しましょう。
在庫管理に課題を抱えている場合は、SBフレームワークスにご相談ください。
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監修者プロフィール
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玉橋 丈児
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