物流を効率化する方法は?政府が支援する施策や成功事例も紹介
監修者プロフィール
SBフレームワークス マーケティング/広報
玉橋 丈児
物流×輸配送×テクニカルソリューションで、お客様の課題解決を目指すSBフレームワークスのマーケティング担当。テクニカルソリューション分野での実務経験を活かして、弊社のサービスや、業界の話題などを解説いたします。物流技術管理士補。
近年、物流業界は配送量の増加やドライバーの人手不足などの課題を抱えており、物流業務の効率化が急務となっています。
しかし、具体的にどのように効率化すればよいか頭を悩ませている企業担当者の方もいるのではないでしょうか。
本記事では、物流業務を効率化する具体的な方法を、政府が推奨する施策もあわせて詳しく解説します。
物流の効率化にお悩みの場合は、ぜひSBフレームワークスにご相談ください。ソフトバンクグループを物流面で30年以上支えてきた経験とノウハウで、お客様の課題に合わせた改善策をご提案いたします。
目次
物流業務の効率化が求められる理由
物流業務の効率化が求められる理由には、以下の4つが挙げられます。
- ドライバーの人手不足
- 配送量の増加
- 積載率の低下
- 物流コストの上昇
それぞれの理由について解説します。
ドライバーの人手不足
物流業務の効率化が求められる理由の一つは、深刻化するトラックドライバーの人手不足です。人手不足の要因として、ドライバーの平均年齢の上昇と若い世代の担い手の減少が挙げられます。
経済産業省の資料によると、物流・運送業における年齢構成は40〜54歳が45.2%を占め、全産業平均と比較すると中年層の割合は約10%高い傾向にあります。
また、物流・運送業における15〜29歳の割合は10.1%であり、全産業平均の若年層の割合より6.5%低い状態です。
このままでは、2028年には約27.8万人のドライバーが不足すると予測されており、物流サービスの維持が困難になる可能性があります。そのため、物流業務の効率化は、今後ますます重要になると考えられます。
参考:経済産業省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」
配送量の増加
年々増加する配送量の増加により、物流業務の効率化は急務となっています。配送量の増加の要因として考えられるのは、EC事業の急速な普及によりネットショッピングの需要が拡大したことです。
経済産業省の資料によると、宅配便の取扱個数は2010年以降増加傾向にあります(※1)。EC市場の規模は拡大傾向が続いているため、今後も配送量の増加が見込まれるでしょう。そのため、効率化を図り対応していく必要があります。
※1 参考:経済産業省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」
積載率の低下
トラックの積載率の低下も、物流業務の効率化が必要な理由の一つです。積載率が低下している要因には、ネットショッピングの利用拡大により、個人宅への小口配送が増加していることが考えられます。
個人宅を対象とした小口配送では、注文即日配送や注文翌日配送が一般化しており、迅速な配送が求められます。そのため、トラックの許容積載量を満たすまで待ってから配送することが難しく、積載量が少ない状態で頻繁に配送しているのが現状です。
経済産業省の資料によると、2010年以降トラックの積載率は40%以下の低水準で推移しています(※1)。このような背景から、トラックドライバーの負担軽減、およびコスト削減のために、トラックを効率的に稼働させることが求められています。
※1参考:経済産業省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」
物流コストの上昇
人件費の高騰により物流コストが上昇しているため、物流業務の効率化が必要です。物流業界では、人材確保のために賃金の増加や労働条件の改善などの対応に迫られています。
しかし、賃金の増加は物流コスト増加の要因となり、企業の経営を圧迫してしまいます。そのため、利益率を上げるには物流業務の効率化が必要不可欠です。
政府が支援する物流総合効率化法にもとづく施策
2005年に施行された物流総合効率化法は、物流業界が抱える人手不足や環境問題などの課題解決を目的としている法律です。
物流総合効率化法にもとづいて、政府は輸送の効率化や環境負荷の低減に貢献する事業に対して、補助金や開発許可の配慮などの支援をしています。支援対象となる取り組みは、以下の3つです。
- モーダルシフト
- 共同配送
- 輸送網の集約
それぞれの取り組みについて解説します。
参考:国土交通省「物流総合効率化法に基づく支援」
モーダルシフト
モーダルシフトは、トラックによる長距離輸送を、積載容量の大きな鉄道や船舶の利用に転換する方法です。
鉄道や船舶を活用することで、トラックよりも一度に多くの荷物を輸送できます。そのため、トラックの台数を削減できドライバー不足の解消に有用です。
また、鉄道や船舶での輸送の場合、荷物を運ぶ距離が長くなるほど輸送コストが下がります。そのため、長距離輸送においてはトラックでの配送よりも、コストが割安になる傾向にある点もメリットです。
共同配送
共同配送は、複数の物流企業の荷物を1台のトラックにまとめて配送する方法です。配送する荷物をまとめることで、1回の配送で多くの荷物を運べるようになるため、作業効率を向上できます。
また、トラックの積載量が増えるため、燃料費のコスト削減やドライバー不足解消が見込める点も特徴です。
輸送網の集約
輸送網の集約とは、各地に分散された倉庫や工場を1か所にまとめ、業務の効率化を図る方法です。
運送ルートの中心に各設備を集約した輸送連携型倉庫を設置し、荷物を集めた後に各配送先に輸送します。輸送網を集約すれば複数の拠点間を何度も往復する必要がなくなるため、トラックの台数と人員の削減が可能です。
自社の物流業務を効率化する方法
自社の物流業務を効率化する方法には、主に以下の4つが挙げられます。
- 物流業務のアウトソーシング
- 物流システムの導入
- 自動化システムの導入
- 作業の見直し
それぞれの方法について詳しく解説します。
物流業務のアウトソーシング
物流業務を外部に委託すれば、自社の業務負担が軽減され作業の効率化を図れます。物流代行サービス業者は、最新技術を活用したシステムを導入していることが多く、最適な物流ルートの選定や正確な在庫管理などができるからです。
また、物流のプロが作業を代行することで、ミスの発生を抑えられます。作業の精度が向上するため、結果として業務の効率化につながります。
物流システムの導入
物流システムを導入すれば、手動で行っていた倉庫内作業やシフト管理などの手間を削減できます。具体的には、以下のようなシステムの導入で効率化を図れます。
倉庫管理システム | 入荷から出荷までの倉庫内の作業工程を管理するシステム |
配送管理システム | 出荷から配送完了までの作業工程を管理するシステム |
運送管理システム | 運送計画やドライバーのシフト管理など、運送に関する情報を管理するシステム |
ピッキングシステム | ピッキングに必要な情報を担当者に伝えるシステム |
電子データ交換システム | 帳票類を電子化するシステム |
RFID(Radio Frequency IDentification System ) | 無線通信により非接触で商品の情報を読み取り、保管や出力をするシステム |
業務をデジタル化することで、データをもとにさまざまな分析ができるため、需要の変動に柔軟に対応できるようになるでしょう。
自動化システムの導入
自動梱包機や物流ロボットを用いて物流作業を自動化することで、人手不足の解消や作業負担の軽減が可能です。
物流ロボットは、休憩を必要とせず常に稼働できるため、生産性の向上や納期の短縮が見込めます。物流ロボットや自動化システムの導入には初期投資がかかるものの、長期的に活用することで人件費を削減できるでしょう。
作業の見直し
作業工程や動線の見直しも、物流業務の効率化につながります。作業工程をシンプルにできないか考えましょう。作業工程を単純化すればミスが起きにくくなり、迅速に作業できるようになることが期待できます。
また、ピッキングに時間がかかるレイアウトになっている場合は改善しましょう。動きやすいレイアウトにすれば、無駄な動きをしないで済むため作業効率が向上します。
作業工程や動線を見直す際は、実際に作業する従業員のフィードバックを取り入れると、効果的な改善策を講じやすくなります。
物流の効率化に成功した弊社のお客様事例
弊社の物流サービスを導入して業務の効率化に成功したお客様の事例を2つ紹介します。
倉庫の集約化により効率的な運用を実現|株式会社OSM International様
株式会社OSM International様は、代理店事業とスポーツライセンス事業を中心としたビジネスを展開している企業です。
以前は、BtoC物流とBtoB物流の倉庫を別々で管理し、それぞれで在庫を抱えていました。そのため、在庫の移動や管理が非効率で、コストやリードタイムが増加していることが課題でした。
課題を解決するために、BtoCとBtoBの倉庫を集約し一元管理に転換。倉庫の集約化により在庫の移動が容易になり、コストやリードタイムが削減しました。また、保管費用の最適化も実現しています。
参考:SBフレームワークス株式会社「BtoCもBtoBも。倉庫をまとめて一元管理ができました」
3PL・返品分析サービスの利用により返品管理の負担軽減へ|株式会社TFN様
株式会社TFN様は、家電製品のEC事業やモバイルルーターのレンタル事業を展開する企業です。
売上の拡大に伴い自社の倉庫内が段ボールで溢れ、物流業務の管理が困難な状況でした。とくに、社内リソースの不足から返品管理が後回しになっており、きちんと対応できていませんでした。
この状況を改善するために、弊社の「もの・ことロジ 3PL・返品分析サービス」を導入。サービスの導入により返品管理がシステム化され、返品にかかるコストが適切に管理できるようになりました。
また、返品情報が可視化され、返品率や在庫回転率などの指標が明確になり、返品コストの削減も実現しています。
参考:SBフレームワークス株式会社「返品を経営者目線で早期解決がEC企業の成長を後押し」
物流業務の効率化を図り負担を軽減しよう
物流業界はドライバー不足や物流コストの高騰に直面しており、物流業務の効率化の必要性が高まっています
物流業務の効率化には、モーダルシフトやシステムの導入などさまざまな方法が考えられます。自社で対応が難しい場合は、物流業務をアウトソーシングすることで効率化の実現が可能です。
物流業務の効率化を検討している場合は、SBフレームワークスにご相談ください。輸配送方法の最適化や返品された商品の傾向分析まで多岐にわたる物流プロセスの改善を支援いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。
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