物流で使われるパレットとは?種類やサイズ、利用するメリットを解説

監修者プロフィール

SBフレームワークス マーケティング/広報
玉橋 丈児
物流×輸配送×テクニカルソリューションで、お客様の課題解決を目指すSBフレームワークスのマーケティング担当。テクニカルソリューション分野での実務経験を活かして、弊社のサービスや、業界の話題などを解説いたします。物流技術管理士補。
物流で使われるパレットとは、複数の荷物をまとめて載せられる荷役台です。荷物を載せたまま運搬でき、トラックへの積み込みや積み下ろしを効率的に行えます。
材質や形状の種類はさまざまなため、パレットを利用する際はそれぞれの特徴を理解して自社に適したものを選ぶことが重要です。
本記事では、物流で使われるパレットの種類やサイズ、利用するメリットについて解説します。
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目次
物流で使われるパレットとは

物流で使用されるパレットとは、輸送や保管の際に荷物を載せる荷役台です。複数の荷物を載せて、単位数量にまとめられます。
フォークリフトやハンドリフトを使えば、荷物を載せたパレットごと運搬できます。荷物を直に床に置くのと比べて一度に多くの荷物を運べるため、荷役作業にかかる時間の短縮が可能です。
近年、国土交通省がパレットを活用した業務の効率化を推進していることもあり、パレットの重要性が高まっています(※1)。
※1 参考:国土交通省「パレット標準化の取組状況について」
物流で使われるパレットの形状

物流で使われるパレットには、以下のような形状があります。
- 平パレット
- シートパレット
- ボックスパレット
- ロールボックスパレット
- ポストパレット
- タンクパレット
- サイロパレット
それぞれの特徴を解説します。
平パレット
平パレットとは、上部に構造物がないフラットな形状のパレットです。パレットの側面にフォークリフトの差し込み口がある設計になっています。
平パレットは、ケース単位の荷物を載せるのに適しています。木製やプラスチック、金属製などの種類があり、用途に合わせて選択可能です。
シートパレット
シートパレットとは、段ボールや紙、プラスチックで作られた薄いシート状のパレットです。主に、米や肥料などが入った袋状の荷物を運ぶ際に利用されています。
他の種類のパレットよりも薄い形状であるため、保管スペースを削減できます。フォークリフトで運搬するには、プッシュプルと呼ばれる専用のアタッチメントの装着が必要です。
ボックスパレット
ボックスパレットとは、側面が鉄板や金属製のメッシュで囲まれているボックス状のパレットです。
蓋つきや組み立て式などのタイプがあり、小物の荷物を効率的に保管できます。ボックスパレットは、積み上げるのが難しい農産物や、金属の部品などの保管と運搬に適しています。
ロールボックスパレット
ロールボックスパレットとは、キャスターが付いたボックスパレットです。「かご車」「かご台車」などとも呼ばれています。
フォークリフトを使わずに人の手で移動でき、スーパーマーケットや小売店に荷物を輸送する際に多く利用されています。店舗では、ロールボックスパレットに荷物を載せた状態で保管が可能です。
ポストパレット
ポストパレットとは、支柱がついたパレットです。パレットの段積みができ、荷物を載せたまま運べます。
パレットとラックの機能を持ち合わせているのが特徴です。フィルムや絨毯などのロール物を載せるのに適しています。
タンクパレット
タンクパレットとは、液体を入れるタンクがついたパレットです。タンクには、上部か下部に出し入れ口がついています。
安全に運搬できるよう金属製の枠でタンクが囲まれており、化学薬品や食品用溶液などの運搬に利用されています。
サイロパレット
サイロパレットとは、穀物や飼料を貯蔵するサイロの形をしたパレットです。小麦粉やセメントなどの粉粒体を保管する際に利用されています。
上部から粉状の荷物を入れ、下部の開閉装置を開けることで取り出せるように設計されています。
パレットの素材とその特徴

物流で使われるパレットのうち、平パレットは以下のようにさまざまな素材で作られています。
- 木製パレット
- 段ボールパレット
- プラスチックパレット
- 金属パレット
それぞれの特徴を解説します。
木製パレット
木製パレットは、世界中で多く使用されているパレットです。安価で入手しやすく強度が高いため、物流業界では古くから使われています。積み荷が滑りにくく、破損しても修理できるのが特徴です。
ただし、湿気に弱くカビが発生するリスクがあります。木製パレットは劣化すると虫がつく場合もあるため、衛生管理が必要な荷物を載せるのには向いていません。
また、木のささくれにより、荷物を傷つける可能性もあります。木製パレットを利用する際は、定期的なメンテナンスが必要です。
段ボールパレット
段ボールパレットは、軽量で低コストなパレットです。リサイクル性に優れており、産業廃棄物ではなく通常の段ボールとして廃棄できます。主にワンウェイ(片道)の輸送で利用されています。
他の素材のパレットと比べて強度や耐久性は低いため、重量物の輸送には適していません。また、湿気や水に弱く、保管場所に気を配る必要があります。
段ボールパレットは、軽い荷物の輸送やパレットを使い捨てる輸送に向いています。
プラスチックパレット
プラスチックパレットは、ポリプロピレンやポリエチレンなどの素材で作られた、耐久性・耐水性に優れたパレットです。軽量で洗いやすく、繰り返し使用できます。
ただし、他の素材と比べてプラスチックは物体との摩擦が少なく、載せた荷物が滑りやすい点には注意が必要です。滑り落ちないよう、パレットに荷物を固定するなどの対策をしましょう。
プラスチックパレットは水や湿気に強く、さまざまな荷物に利用できます。カビ発生のリスクがある木製と比べ衛生的に保てるため、食品や医薬品など衛生管理が重要な荷物にも向いています。
金属パレット
金属パレットは、鉄やアルミニウムなどで作られた強度が高いパレットです。耐久性に優れており、繰り返し使用できます。
他のパレットに比べて重さがありコストが高いため、広くは使われていません。主に重量物の輸送や航空輸送で利用されています。
物流で使われるパレットのサイズ

物流で使われるパレットのサイズは、業界によってさまざまです。日本国内で多く使われているパレットのサイズと業界別のパレットサイズについて解説します。
日本国内で使用されているパレットのサイズ
日本国内では、以下のようなサイズのパレットが多く使われています。
- 1,100mm× 900mm
- 1,100mm×1,100mm
- 1,200mm×1,000mm
- 1,300mm×1,100mm
- 1,400mm×1,100mm
パレットには、JIS規格で定められたサイズがあります。標準サイズは「JIS Z 0601」で、1,100mm×1,100mm×144mmです。「イチイチパレット」や「T11型パレット」とも呼ばれています( ※1)。
最も多く生産されているサイズは1,100mm×1,100mmです。国土交通省の資料によると、2022年5月時点で全体の約32%を占めています(※2)。
※1 参考:国土交通省「パレット標準化の現状と課題」
※2 参考:国土交通省「パレット標準化の取り組み状況について」
各業種で使用されているパレットのサイズ
各業種で使用されているパレットの主なサイズと特徴は、以下のとおりです。
業種 | パレットサイズ | 特徴 |
食品業 | ・1,100mm×1,100mm ・1,200mm×1,000mm | ・使用している種類は、プラスチックパレットが多い ・冷凍食品を扱う場合は、冷凍下の衝撃に強いポリエチレン製を使用する |
酒類業 | ・1,100mm×900mm | ・ビールケースを6箱積載できるサイズを使用している ・ビールパレットと呼ばれている |
化学工業 | ・1,100mm×1,100mm | ・ドラム缶4本を積載できるサイズを使用している |
医薬品業 | ・1,100mm×1,100mm | ・GMP(医薬品の製造管理および品質管理の基準)によりプラスチック製のパレットが増えている |
取り扱う商品の特徴によって、使用するパレットは異なります。輸入品については、上記以外の仕様のパレットもあります。
参考:国土交通省「パレット標準化の実態調査」
パレットパターン(荷物の積み方)の種類

パレットに荷物を積む際には、以下のようなパレットパターン(荷物の積み方)があります。
- ブロック積み
- 交互列積み
- レンガ積み
- スプリット積み
- 窓積み
- ピンホール積み
- ダブルピンホール積み
- ◯回し◯段積み
それぞれの特徴を解説します。
ブロック積み
ブロック積みとは、荷物を同じ方向に並べて積み上げる方法です。単純な積み方であるため、早く荷物を積み上げられます。
しかし、横向きの力に弱く、少しの振動でも荷崩れしてしまう可能性があります。そのため、荷物をフィルムで固定するなどの対策が必要です。
交互列積み
交互列積みとは、一段ごとに荷物の向きを90度変えながら積み上げる方法です。ブロック積みよりも荷物の安定性が高く、荷崩れのリスクを抑えられます。
ただし、荷物の大きさによっては縦と横の長さが合わないため、交互列積みができません。並べたときに全体の形が正方形になるような荷物で使える方法です。
レンガ積み
レンガ積みとは、一つの段で縦横の向きを変えながら荷物を積む方法です。各段では180度ずつ向きを変えて荷物を積み上げるため、荷崩れしにくくなります。
また、すべての荷物が外側から確認でき、荷物の検品がしやすくなる点も特徴です。
スプリット積み
スプリット積みとは、レンガ積みで横向きになる荷物の部分にスプリット(隙間)ができる積み方です。
荷物を内側に寄せると、上に荷物を積んだ際に荷崩れを起こしやすくなるため注意が必要です。横向きの荷物は外側に寄せて、内側に隙間ができるように積みます。
窓積み
窓積みとは、レンガ積みで横向きにする荷物を2列に増やす積み方です。各段では180度ずつ向きを変えて荷物を積み上げます。
レンガ積みと同じく、すべての荷物が外側から確認できるため、検品がしやすくなります。正方形ではないパレットに荷物を積む場合によく使われる方法です。
ピンホール積み
ピンホール積みとは、荷物を風車の形になるよう組み合わせて積む方法で、風車形積み付けとも呼ばれています。一段ごとに向きを反転させると荷物の安定性を高められます。
中央に空気の通り道になる空洞ができるため、荷物の温度を一定に保ちやすくなります。冷凍倉庫や低温輸送の際に適した荷物の積み方です。
ダブルピンホール積み
ダブルピンホール積みは、ピンホール積みの隙間部分を2つ作る積み方です。一段ごとに左右を反転させて積み上げます。
積み方が複雑なため、手作業で積む場合は時間がかかりますが、ピンホール積みよりも積載効率が向上します。積載効率を上げたい場合に検討するとよい方法です。
◯回し◯段積み
◯回し◯段積みは、一段ごとに何個の荷物を置き、何段重ねるかを指示する方法です。
たとえば、5回し4段であれば、各段に5個の荷物を置きながら4段積み上げるため、合計20個の荷物がパレットに積まれます。
◯回し◯段積みの場合、荷物の向きや並べ方が決まっていないため、荷物の積み方について指示を出す必要があります。
物流でパレットを利用するメリット

物流でパレットを利用するメリットには、以下の3つが挙げられます。
- 荷役作業の時間を短縮できる
- ドライバーの作業負荷が軽減される
- 荷物の破損リスクが軽減する
それぞれのメリットについて解説します。
荷役作業の時間を短縮できる
物流でパレットを利用するメリットは、荷役作業の時間を短縮できることです。パレットに積んだ荷物をフォークリフトでまとめて運搬できるため、手作業で一つずつ荷物を運ぶよりも作業時間がかかりません。
荷物の積み込みや積み下ろし、倉庫内での運搬などの荷役作業を効率的に進められます。
トラックドライバーの作業負荷が軽減される
パレットを利用することで、トラックドライバーの作業負荷が軽減されます。バラ積みと呼ばれる、パレットを使用せずにトラックの荷室に直接積み込む場合と比較して、荷役作業にかかる時間を圧倒的に短縮できるからです。
荷役作業が効率化されるため、ドライバーの労働時間が短くなる可能性もあります。ドライバーの作業負担を軽減できれば、労働環境の改善につながります。
荷物の破損リスクが軽減する
荷物の破損リスクが軽減することも、物流でパレットを利用するメリットです。手作業と比較して、荷物の積み込みや積み下ろしの回数が少なくなるため、荷物への負荷を抑えられます。
また、手作業によって荷物の一部分に強い力が加わるケースがなくなるでしょう。荷物の破損が減ると顧客からの信頼低下を防ぎ、返品コストの削減にもつながります。
物流でパレットを利用する際の問題点

物流でパレットを利用する際には、以下の問題点に留意しましょう。
- マテハン機器を揃え、作業体制を構築する必要がある
- パレットの管理コストが発生する
- 積載効率が低下する場合がある
- パレットの保管スペースが必要になる
それぞれの内容を解説します。
マテハン機器を揃え、作業体制を構築する必要がある
物流でパレットを利用する際は、マテハン機器を揃えることや作業体制の構築が必要です。マテハン機器とは、物流作業を効率化するために用いられる作業用機械の総称です。フォークリフトやハンドリフト、ラックなどが挙げられます。
パレットを運ぶには、フォークリフトを用意しなくてはなりません。加えて、フォークリフトの操作資格を保有する作業員も欠かせません。
また、作業スペースを確保するために、倉庫内のレイアウトの見直しが必要になる場合もあります。
パレットの管理コストが発生する
パレットの管理コストが発生する点にも注意が必要です。パレットを使い捨てない場合、荷物を輸送した後にパレットを回収しなくてはならないため、輸送費や人件費などのコストがかかります。また、倉庫の保管スペースを借りている場合は、保管料も発生します。
パレットの管理コストを抑えるために、他社との共同利用を検討するのもよいでしょう。
積載効率が低下する場合がある
トラックで輸送する際に、パレットの重量やパレット間の隙間が積載効率の低下に影響する可能性があります。
パレットのサイズが大きいほど、荷物を積めるスペースが少なくなります。サイズの小さいパレットを使う、パレットパターンを工夫するなどの対策を検討しましょう。
パレットの保管スペースが必要になる
パレットを利用する際は、倉庫内にパレットを保管するスペースやフォークリフトが通るスペースを確保しなくてはなりません。
パレットの枚数が多ければ、それに比例して広い保管スペースが必要になります。倉庫内のスペースが限られている場合は、薄い形状のパレットや屋外で保管できる素材のパレットなどの利用を検討するとよいでしょう。
パレットを活用して物流作業の効率を向上させよう

物流業務でパレットを利用すると、荷物の積み込みや積み下ろしなどの荷役作業にかかる時間の短縮が可能です。トラックに荷物をバラ積みをしなくて済むため、ドライバーの作業負担が軽減されます。
ただし、パレットの管理コストがかかる上に、保管スペースが必要になります。取り扱う荷物や倉庫のスペースを考慮してパレットの種類やサイズを選ぶことが大切です。自社に適したパレットを活用して物流作業の効率を向上させましょう。
物流業務の運用にお悩みの場合は、SBフレームワークスにご相談ください。弊社独自の物流管理システムを活用して、物流作業を代行いたします。庫内作業のオプションも豊富に用意していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
\年間400万箱以上の出荷実績にもとづき提案/
監修者プロフィール

SBフレームワークス マーケティング/広報
玉橋 丈児
物流×輸配送×テクニカルソリューションで、お客様の課題解決を目指すSBフレームワークスのマーケティング担当。テクニカルソリューション分野での実務経験を活かして、弊社のサービスや、業界の話題などを解説いたします。物流技術管理士補。
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物流現場で最も活躍していると言ってもよい「パレット」ですが、その現場では「そこのプラパレ取ってきてー」といったように、素材ごとに「木パレ」「段パレ」「プラパレ」と省略して呼ばれることも多いようです。