積載効率とは?上げるメリットや方法を解説

監修者プロフィール

SBフレームワークス マーケティング/広報
玉橋 丈児
物流×輸配送×テクニカルソリューションで、お客様の課題解決を目指すSBフレームワークスのマーケティング担当。テクニカルソリューション分野での実務経験を活かして、弊社のサービスや、業界の話題などを解説いたします。物流技術管理士補。
積載効率は、トラックに貨物を効率良く積み込めているかを示す指標です。積載効率を高めることで、輸送コストの削減やドライバー不足の解消などが期待できます。
一方で、積載効率を向上させる方法がわからず悩んでいる企業担当者の方もいるのではないでしょうか。
本記事では、積載効率を上げるメリットや高める方法を解説します。
積載効率について課題を抱えている場合は、SBフレームワークスにご相談ください。ソフトバンクグループの物流を支えてきた経験やノウハウをもとに、改善策をご提案します。
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目次
積載効率とは

積載効率とは、トラックの最大積載重量に対して貨物を効率良く積み込めているかを示す指標です。
積載効率が高いほど、トラックの積載能力を十分に活用して無駄なく積み込めていることを意味します。
反対に積載効率が低い場合は、現状より多くの荷物を積む余裕があるなど、積載能力を持て余している状態です。
積載効率が低い状態のまま運行を継続していると、輸送量に対する輸送コストが割高になり収益率が下がってしまいます。そのため、積載効率を高める工夫が欠かせません。
積載効率を判断する方法

積載効率が高いか低いかを判断する方法には、以下の2つが挙げられます。
- 貨物の積載率を指標とする
- 貨物の占有率を指標とする
それぞれの判断方法について解説します。
貨物の積載率を指標とする
積載率は、積載効率を判断する指標となります。
積載率とは、コンテナやトラックなどの輸送容器の許容積載重量に対し、実際に積み込んだ貨物重量の割合です。飲料製品など、かさは小さいが重い貨物を例外とすれば、積載率が高いほど積載効率が良いことを意味します。
積載率は、以下の計算式で求めます。
積載率(%)=積載重量÷最大積載重量×100 |
たとえば、最大積載重量が4tのトラックに2tの貨物を積載した場合の積載率は、以下のとおりです。
積載率=2÷4×100=50% |
上記の場合、積載率は50%であることから、最大積載重量が4tのトラックの半分しか活用できていないと判断します。
積載率は、往復路の平均値をもとに判断するのが一般的です。仮に往路が積載率50%でも、貨物納品後の復路で運ぶ貨物(帰り荷)がない場合、復路の積載率は0%となるため、積載率は25%になります。
空になったトラックのままで車庫へ帰庫すると積載効率を大きく下げることになるため、帰り荷を確保することが望ましいです。
貨物の占有率を指標とする
積載率とあわせて、貨物スペースの容積に対する占有率を積載効率の指標とするのも有効です。なぜなら、重量ベースで計算した積載率が高いからといって、積載効率が良いと言い切れないケースがあるからです。
たとえば「かさは小さいが重い貨物」を積載した場合、積載率が100%だとしても積載スペースが余っているように見えることがあります。このような場合は「かさ張るが軽い貨物」と組み合わせ、貨物スペースの容積をフルに使うことも有効です。
トラックの積載効率の推移

経済産業省の資料によると2016年度以降、営業用トラックの積載効率は全国平均で40%以下の低い水準で推移しています。

画像引用:経済産業省「令和4年度産業経済研究委託事業調査報告書」
積載効率が低い要因には、小口配送の増加が挙げられます。ネット通販やフリマアプリなどECサービスの普及により、近年は小口の荷物を多頻度で配送せざるを得ない状況です。
そのため、一度の配送で積載する荷物量が減り、積載効率の低水準が続いていると考えられます。
参考:国土交通省「検討の背景② 物流を取り巻く現状と課題」
積載効率を上げるメリット

積載効率を上げるメリットには、以下などが挙げられます。
- コスト削減が期待できる
- ドライバー不足の解消につながる
- 環境保護につながる
それぞれのメリットについて解説します。
コスト削減が期待できる
積載効率を上げると、物流全体のコスト削減が期待できます。トラックやコンテナの積載能力を最大限活用できるようになると、少ない便数で多くの貨物を運べるからです。その結果、燃料費や人件費削減につながり、収益増加が期待できます。
物流コストの削減により収益が増加すれば、最新の機器やシステムへの投資を検討してもよいでしょう。他の部分へと投資できるようになれば、配達遅延や貨物破損リスクの低減など、サービス品質の向上につながります。
ドライバー不足の解消につながる
積載効率の上昇は、ドライバー不足の解消につながります。積載効率の向上により一度の運行で運べる貨物量が増えれば、不要な運行を減らせるからです。
国土交通省の資料によると、運送業に従事するドライバー数は減少傾向にあり、2015年から2030年の15年間で24.8万人減少すると予測されています。

画像引用:国土交通省「検討の背景② 物流を取り巻く現状と課題」
積載効率が上がり、同じ量を運ぶのにかかるトラックの運行回数が減ると、必要なドライバーの人数やドライバーの労働時間を抑えられます。
また同資料によると、トラック・ドライバーの労働時間は、他の産業と比べて約2割長いとのことです。それにもかかわらず、年間所得額は他の産業と比べて約1割低いのが現状です。このような背景から、トラック・ドライバーの仕事を選ぶ若い層は少ない傾向にあります。
積載効率の向上により、効率的により多くの貨物を運べるようになれば、コスト削減による収益増によってドライバーの待遇改善が期待できます。その結果、ドライバーの担い手が確保しやすくなるでしょう。
参考:国土交通省「検討の背景② 物流を取り巻く現状と課題」
環境保護につながる
環境保護に貢献できる点も積載効率向上のメリットです。積載効率が上がり、同じ量を運ぶのにかかるトラックの運行回数が減ると使用する燃料を削減できるため、CO2排出量を抑えられます。
環境に配慮した運送は、企業イメージの向上にもつながります。
積載効率を上げるための方法

積載効率を上げる際には、積載能力に対する貨物の重量を評価する積載率だけではなく、他にも着目すべき点があります。
貨物スペースの容積を無駄なく使うために荷物の組み合わせを考えるなど、積載率と容積の占有率の両方のバランスを追求することが重要です。
その点を踏まえ、積載効率を向上させるための方法には、以下が挙げられます。
- 輸配送管理システムを利用する
- 共同配送を導入する
- 外装やパレットの規格を標準化する
それぞれの方法について解説します。
輸配送管理システムを利用する
輸配送管理システムの利用は、積載効率の向上につながります。輸配送管理システムとは、荷物の出荷から届け先に届くまでの輸配送にかかわる業務を管理するシステムのことです。
積み込み方法を自動計算する機能などが備わっており、精度の高い積み付け計画を立てられるようになるため、積載効率を高められるでしょう。
荷物の形態やサイズ、重量などを加味した積み付け結果を3Dシミュレーションで確認できるタイプもあり、荷物の積み付けの最適化が図れます。
また同時に、荷崩れしにくい積み込み方法も把握できるため、高い輸送品質を維持できます。
共同配送を導入する
荷主企業同士が連携して共同配送することで、積載効率を高められます。共同配送とは、納品先が共通・近隣である複数の荷主企業が協力し、1台のトラックに荷物を積み合わせまとめて配送する方法です。
定期的に運行するルートであれば、帰り荷の確保がしやすくなります。復路の空きスペースが削減できるため、積載効率が上がります。
共同配送を導入する際は、周辺エリアから参画する荷主企業を募るのもよいでしょう。
外装やパレットの規格を標準化する
荷主企業と連携し、商品を梱包する段ボール箱(外装)やパレットのサイズを標準化することで積載効率の向上につながります。外装のサイズや形状、外装サイズに応じたパレットサイズを標準化すれば、トラックやコンテナ内の無駄なスペースを減らせるためです。
また、無駄なスペースが減れば、運送中に荷崩れや衝撃による破損などのリスク軽減が可能です。
積載効率改善を実現した事例

積載効率を改善に成功した企業事例を紹介します。積載効率向上のための取り組みを検討するうえで参考にしてください。
重量物と軽量物の混載により積載効率を向上|大王製紙株式会社
大王製紙株式会社は、紙類やパルプ類の製造加工を行う企業です。同社は2022年からサントリーグループと共同で、長距離輸送の効率化のために共同配送を行っています。
サントリーグループは、飲料製品などの重量物を取り扱っており、トレーラーに最大限積載すると重量制限の関係でトレーラー上部に空きが生じ、積載効率が低下していました。
そこで空きスペースを活用するため、相対的に軽量な大王製紙の紙製品を空きスペースに混載し、積載効率を高める取り組みを開始しました。
積載効率の向上によるトラック台数の削減などが評価され、令和5年度物流パートナーシップ優良事業者表彰の部門賞「強靱・持続可能表彰」を受賞しています。
共同輸送により積載効率を向上|久留米運送・第一貨物・トナミ運輸
トラック運送事業者の久留米運送・第一貨物・トナミ運輸の3社は、閑散期における積載効率低下の課題を抱えていました。3社の経営トップは協議を重ね、課題を解消するための取り組みを実施しています。
積載効率を向上させるために実施した取り組みは共同輸送です。閑散期である土曜日に東京〜大阪間で共同輸送を行っています。
これまでは同区間を3社が各々運行していましたが、トナミ運輸と第一貨物の2便に荷物を集約したことで、積載効率が向上しました。また、運行コストの削減も実現しています。
参考:国土交通省「トラック運送における生産性向上方策に関する手引き」
積載効率を高めコスト削減や人手不足解消を実現しよう

積載効率が高いか低いかは、貨物の積載率や占有率により判断できます。
積載効率を高めるためには、輸配送管理システムや共同配送の導入、外装・パレット規格の標準化などが有効です。自社に適した方法で積載効率を高め、コスト削減や人手不足解消につなげましょう。
積載効率に関してお悩みの場合は、SBフレームワークスにご相談ください。弊社では混載便やチャーター便、ミルクランサービスを提供しており、課題に応じて最適な輸配送プランをご提案いたします。
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積載効率が上がるということは、1台のトラックにより多くの貨物を載せるということです。パレット等による積み下ろし作業の簡略化を実施するほか、長時間待機や契約外の付帯作業などをなくし、ドライバーの負担を軽減するなど、待遇改善とセットで考えることが大切です。