物流コストを削減するには?コスト高騰の要因や成功事例を紹介

監修者プロフィール

SBフレームワークス マーケティング/広報
玉橋 丈児
物流×輸配送×テクニカルソリューションで、お客様の課題解決を目指すSBフレームワークスのマーケティング担当。テクニカルソリューション分野での実務経験を活かして、弊社のサービスや、業界の話題などを解説いたします。物流技術管理士補。
近年、燃料費の高騰やドライバー不足などの影響で、物流コストは上昇傾向にあります。コストの増加は経営を圧迫する要因となるため、対策が欠かせません。
本記事では、物流コストを削減する方法やコスト高騰の要因、コスト削減の成功事例を紹介します。
物流業務のコスト削減についてお悩みの場合は、SBフレームワークスにご相談ください。ソフトバンクグループの物流を支えてきた経験やノウハウをもとに、改善策をご提案します。
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目次
物流のコスト削減を目指すなら、まずはコストの可視化から

物流コスト削減に向けて可視化すべきコストは、以下などが挙げられます。
コストの種類 | 概要 |
輸送費 | ・荷物を輸送する際にかかる費用 ・燃料代や有料道路料金、航空便料金などが該当する |
荷役費 | ・荷物を運ぶ作業にかかる費用 ・倉庫からの入出庫や仕分け作業などが該当する |
保管費 | ・荷物を保管する際にかかる費用 ・倉庫の賃貸費用やレンタル料、保管場所にかかる火災保険などが該当する |
梱包費 | ・製品などを梱包する際にかかる費用 ・段ボールやガムテープ、緩衝材などの梱包資材が該当する |
管理費 | ・物流業務を管理する際にかかる費用 ・物流管理システムの導入費用や物流管理に使用する機器(PC・タブレット・台帳など)の費用が該当する |
種類別に物流コストを洗い出すことで、具体的な対策を講じられます。たとえば、輸送費を削減するためには、納品先を効率良く回れるルート設計や、積載効率を高める工夫を行うことで、燃料費の節約につながります。
物流業務にかかるコストについては以下の記事で詳しく解説しているので、可視化すべきコストを洗い出すうえで参考にしてください。
物流コスト削減のためのアイデア

物流コストを削減するためには、以下の方法が考えられます。
- 物流業務をアウトソーシングする
- 物流拠点を集約する
- 輸配送ルートを見直す
- 物流倉庫内における業務の自動化を推進する
- 在庫管理を最適化する
それぞれの方法について解説します。
物流業務をアウトソーシングする
物流業務をアウトソーシングすると、自社で物流業務を行う場合と比べて、倉庫の賃料やドライバーの人件費などの固定費を変動費化できます。そのため、売上に応じた物流コストのコントロールがしやすくなります。
また、物流の専門知識やノウハウを有したプロが業務を請け負うため、物流プロセスが効率化され、無駄なコストの削減もできるでしょう。
物流拠点を集約する
複数の物流拠点がある場合は、集約することでコストの削減が期待できるでしょう。
物流拠点が分散していると、各拠点それぞれで管理者の人件費や、事務スペースが必要になるほか、倉庫の賃料や保管コストなどが余分にかかる場合があります。
物流拠点を集約することで、管理方法や人員規模、保管スペースなどの最適化が可能となりコストを抑えられます。
仕入先や配送先への納品リードタイムなどを考慮し、物流拠点の集約を検討するとよいでしょう。
輸配送ルートを見直す
輸配送ルートを見直すことで、輸送費や人件費の削減が期待できます。
自社でトラックを運行している場合、時間帯ごとの混雑状況や納品順を考慮した効率的なルート設計を、納品先と調整・交渉することが大切です。
効率的なルートで配送することで、無駄な燃料やドライバーの長時間稼働を削減できます。
物流倉庫内における業務の自動化を推進する
物流倉庫の業務を自動化できるロボットを導入し、物流管理システムと連携した自動化を推進すれば、コスト削減が期待できます。
業務を自動化することで、少ない人員でも効率的に作業できるようになります。さらに、作業時の人的ミスの抑制が可能です。
結果として、人件費の削減につながります。また、業務の自動化は、昨今の労働人口減少への対応策としても有効です。
サブスクリプションで契約できる自動化ロボットもあるため、導入の初期費用を抑えつつ、中長期的なプランを検討するとよいでしょう。
在庫管理を最適化する
適正な在庫量を維持することは、保管費の削減につながります。
過剰に在庫を抱えると、商品を保管するための費用がかさみます。在庫管理を最適化するには、在庫管理システムを使用して在庫を見える化することが大切です。
在庫管理システムでは、商品のバーコードやRFIDを読み取ることで入出庫を記録したり、過去のデータをもとに適正在庫を算出したりできます。
作業進捗が可視化されるため、必要分の保管スペースが把握でき、余計な保管費がかからなくなります。
物流コストが高騰している要因

物流コストが高騰している要因には、以下などが挙げられます。
- ドライバー不足
- 燃料費の高騰
- 小口配送の多頻度化
それぞれの要因について解説します。
参考:国土交通省「検討の背景② 物流を取り巻く現状と課題」
ドライバー不足
ドライバー不足が物流コストの上昇につながっていると推測されます。
国土交通省の資料によると、全産業の中でもトラックドライバーの労働時間は長く、かつ年間所得金額が低いとされています。これらの課題を解決しなければ、ドライバー不足に歯止めはかからないでしょう。
また、2024年4月からは時間外労働の上限規制が設けられたため、1回の運行で長距離を走行していた幹線輸送のドライバーが長時間働けなくなりました。そのため、従来の距離・荷物をより多くのドライバーで運ばなくてはならず、ドライバー不足が加速しています。
人材を確保するためには、ドライバーの待遇を改善するなどの対策が必要なため、物流コストの上昇につながると懸念されています。
燃料費の高騰
物流コストの高騰の要因には、燃料費の高騰も挙げられます。コロナ禍からの経済回復によるエネルギー需要の増加に加えて、ロシアのウクライナ侵攻などの世界的情勢も重なり、トラックの燃料の元となる原油などが高騰しています(※)。
さらに、コロナ禍以降に政府が緊急措置的に行ってきた「燃料油価格激変緩和補助金」(いわゆるガソリン補助金)が、2024年末以降から段階的に縮小されています。そのため、さらなる燃料費の上昇は避けられず、燃料費が高くなればそれに比例して輸送にかかるコストが上がります。
※参考:経済産業省「令和4年度エネルギーに関する年次報告」
小口配送の多頻度化
ネットショッピングの普及に伴い、個人宅への小口配送が多頻度化していることも物流コストが増加する要因の一つです。
個人宅への小口配送では、注文日の翌日や翌々日に届くことが一般化しています。消費者のニーズを満たすためには、積載量の少ない小型のバンやトラックを頻繁に稼働させなければなりません。
また、国土交通省の調査によると2024年10月時点では、常に1割程度の再配達が発生しています(※)。
このような現状が、燃料費や人件費がかさむ要因となっています。また、宅配事業者の運賃が値上げされ、その分のコストが転嫁され始めている点も物流コストの上昇要因です。
※参考:国土交通省「宅配便の再配達率サンプル調査について(24年10月期)」
物流コスト削減における懸念点

物流コストを削減するうえでの懸念点として、以下の2つが挙げられます。
- サービス品質の低下
- 物流管理システムを導入する場合は初期投資が必要
それぞれの懸念点について解説します。
サービス品質の低下
物流コストを削減を意識するあまり、サービス品質が低下しないよう注意が必要です。
たとえば、梱包費の削減によって配送中に商品が破損するようなことがあれば、顧客満足度の低下を招きます。また、燃料費や人件費を削減するためにトラックの稼働回数を減らした結果、配送遅延が起こるような事態は避けなければなりません。
物流コスト削減とサービス品質の維持との兼ね合いをよく検討しましょう。
物流管理システムを導入する場合は初期投資が必要
物流業務を効率化してコストの削減を図るために物流管理システムを導入する場合は、初期投資として一定のコストが発生します。
そのため、初期投資や運用にかかるコストよりも、削減できるコストが大きくなる見込みがあるかを検討しなければなりません。
また、既存のシステムと統合する場合でも、業務フローの洗い出しや連携方法などの確認が必要です。きちんと確認・検討せず、利用しない機能を導入してしまうと、無駄な運用費が発生する要因となります。
物流コスト削減に成功した弊社のお客様事例

スポーツライセンス事業などを展開する株式会社OSM International様は、倉庫の集約化により物流コストの削減を実現しています。
同社は、BtoCとBtoBの販路で同じ商品を扱っていましたが、それぞれに倉庫を借りて在庫を保管している状態でした。
そのため、どちらかの販路で在庫切れした場合、倉庫間で在庫を移動しなければならず、その際にコストとリードタイムが発生する課題を抱えていました。
この課題を解決するために行ったのが、販路ごとに契約していた倉庫の集約です。倉庫を集約したことで、保管費を削減できました。
また、在庫の振り替えの際、倉庫間で在庫を移動する必要がなくなったため、輸送費も抑えられています。
参考:SBフレームワークス株式会社「BtoCもBtoBも。倉庫をまとめて一元管理ができました」
改善点を洗い出し物流コスト削減しよう

物流コストを削減する方法には、物流業務のアウトソーシングや物流拠点の集約化、倉庫業務の自動化などがあります。
コストを削減する際は、サービスの品質を低下させないよう、コストと品質の兼ね合いをよく検討することが重要です。種類別に物流コストを可視化して改善点を洗い出し、無駄にかかっているコストを削減しましょう。
物流コストの削減に関してお悩みの場合は、SBフレームワークスにご相談ください。倉庫の一元化による効率的な運用や、弊社独自の物流管理システム「ec-NaviLinks」を活用した在庫管理の最適化など、コスト削減に有効なサービスをご提案します。まずはお気軽にお問い合わせください。
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玉橋 丈児
物流×輸配送×テクニカルソリューションで、お客様の課題解決を目指すSBフレームワークスのマーケティング担当。テクニカルソリューション分野での実務経験を活かして、弊社のサービスや、業界の話題などを解説いたします。物流技術管理士補。
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玉橋 丈児
一度に多くの荷物を運ぶことのできるトラックですが、いわゆる「大型トラック」とよばれる10トン車の燃費は1Lあたり3~4kmです。
月に4000kmを走行する車両10台を保有する事業者の場合、燃料代が1Lあたり10円上がると、単純計算でひと月あたり10万円のコスト増になります。