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物流費とは?コストは高騰している?推移や削減方法を解説

物流
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物流費とは

監修者プロフィール

玉橋丈児

SBフレームワークス マーケティング/広報

玉橋 丈児

物流×輸配送×テクニカルソリューションで、お客様の課題解決を目指すSBフレームワークスのマーケティング担当。テクニカルソリューション分野での実務経験を活かして、弊社のサービスや、業界の話題などを解説いたします。物流技術管理士補。

働き方改革関連法により、2024年4月から自動車運転業務に対して時間外労働の上限規制が適用されました。それに伴い物流業界では、物流費の高騰が懸念されています。物流費の増加は、企業経営を左右する大きな要因となるため、対策が必要不可欠です。

本記事では、物流費の推移や削減方法を解説します。

物流費に課題を抱えている場合は、SBフレームワークスにご相談ください。お客様の課題を多角的に分析したうえで、物流費の削減につながる最適な提案をさせていただきます。

\出荷量に応じて最適コストを実現/

物流費とは

物流費とは、物流業務にかかる費用全般のことです。主に以下5つの費用が物流費に該当します。

  • 輸送費
  • 保管費
  • 人件費
  • 資材費
  • 設備・システム費

それぞれの内訳を見ていきましょう。

輸送費

輸送費とは、荷物を輸送する際にかかる費用です。陸送の場合には主に以下の費用が含まれます。

  • 燃料代
  • 駐車料金
  • 有料道路料金

輸送費は、輸送距離や輸送時間、交通手段によって左右されます。物流費の中でも大きな割合を占める費用であるため、輸送費の削減は重要な課題です。

保管費

保管費とは、物流倉庫などで荷物を保管する際にかかる費用です。主に以下の費用が含まれます。

  • 自社もしくは賃借する倉庫費用(賃貸費用・レンタル料)
  • 保管場所の火災保険料
  • 冷蔵・冷凍保管費用

保管費は、自社倉庫を使用するか、賃借により外部の倉庫を使用するかにより差が生じやすい傾向にあります。倉庫の立地や棟数による影響を受けやすいため、倉庫が分散していないか、保管スペースを持て余している倉庫がないかなど状況に応じた見直しが重要です。

人件費

人件費は物流業務にかかわるすべての従業員にかかる費用です。

倉庫内作業(入出庫・仕分け・ピッキング・流通加工など)にかかる荷役費人件費、物流管理者やドライバーの人件費などが含まれます。

費用項目内容
荷役費
・倉庫からの入出庫
・トラックからの積み下ろし
・仕分け作業
・ピッキング作業
・個別包装や値札付けなどの流通加工

その他の人件費
・物流管理者の人件費
・ドライバーの人件費
・その他、物流スタッフの人件費

人件費は、繁忙期と閑散期によって影響を受けやすい費用です。繁閑の物量差が大きい物流現場では、常時同じ人数の従業員を雇用していると、繁忙期の人員不足や、閑散期の人員過剰といった問題が発生することもあります。

物流代行サービスを活用すれば、、物量に応じて人件費をコントロールしやすくなります

資材費

資材費とは、商品の梱包や保管、輸送に使用される包装資材や容器などの購入にかかる費用を指します。資材費に含まれる主な項目は、以下のとおりです。

  • 段ボールや梱包箱
  • 緩衝材(エアキャップ、紙パッキンなど)
  • 結束バンドやテープ類
  • パレットや通い箱などの繰り返し使用資材
  • ラベルやタグ、封緘(ふうかん)シールなど

資材費は物流費の中でもコントロールしやすい変動費の一つです。荷量に比例して絶対額が大きくなるため、資材や梱包方法を見直すことで、出荷量が多いほどコスト削減効果を実感しやすくなります。

設備・システム費

設備・システム費とは、物流業務を管理・効率化するための物流機器や、ITシステムの導入・運用にかかる費用を指します。設備・システム費に含まれる主な項目は、以下のとおりです。

  • マテハン機器(コンベア、自動仕分け機、パレットラック、昇降機など)
  • ハンディターミナル(バーコードスキャナ、RFIDリーダーなど)
  • 物流管理システム
  • 輸配送管理システム
  • 在庫管理ソフトウェア
  • システム開発・カスタマイズ費用

物流機器やITシステムは、物流事業者が作業のミスや無駄を減らし、物流全体の効率を高めるために欠かせない設備です。一定の初期費用や減価償却費用の形で計上されますが、作業の属人化を防ぎ誰でも同じ品質で作業できる体制を構築するうえで、必要不可欠です。

とくに取り扱い商品が多い企業や拠点が複数ある企業では、物流機器やITシステムの整備がコストの削減やサービス品質の安定につながります。

監修者からのコメント
玉橋丈児

SBフレームワークス
マーケティング/広報

玉橋 丈児

監修者からのコメント

設備・システム費には、物流業務を円滑に運用・管理するために必要不可欠な、資機材・ITシステムなどの費用が盛り込まれています。一般的に、物流管理システムや優れた物流機器によって高度な管理体制を敷くほどこれらの費用は上がりますが、比例して高い品質も期待できるため、一定の金額は必要経費と捉えるとよいでしょう。

物流費が上昇している原因

前述のとおり、物流費には輸送に関連する費用から倉庫作業に関連する費用まで、さまざまなものが含まれますが、とくに輸送に関連する費用の高騰が物流費を上昇させています。具体的には、以下3つの要因が物流費の上昇につながっています。

  • 燃料費の高騰
  • ドライバー不足
  • 小口配送の多頻度化

それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。

燃料費の高騰

物流費が上昇している原因の一つは燃料費の高騰です。ガソリンや軽油などの燃料は物流に不可欠なコストで、価格高騰はそのまま物流費の増加につながります。

近年では以下の要因から燃料費が高騰しています。

  • 原油価格の上昇
  • 円安などの為替の変動
  • ウクライナ情勢などの国際的な不安定要因

とくに長距離輸送では燃料の使用量が多いため、コストへの影響が大きくなります

また、冷蔵・冷凍輸送では冷却装置の稼働にも燃料が必要となるため、さらにコストがかさむ傾向にあります。

参考:経済産業省「検討の背景②物流を取り巻く現状と課題

ドライバー不足

トラックドライバーの人手不足も、物流費が上昇している要因の一つです。人手不足によってドライバーの確保が難しくなり、企業は賃金の引き上げを余儀なくされているからです。

とくに2024年4月から施行された「働き方改革関連法」の影響が大きく、ドライバーの労働環境は大きく変化しています。

ドライバーの時間外労働の上限が年960時間に制限されたことで、一人あたりの運べる距離や荷物が減り、従来より多くのドライバーが必要になる状況が生まれているのです。

国土交通省の資料によると、道路貨物運送業の運転従事者数は1995年の98万人をピークに減少傾向に転じ、2015年には約76.7万人にまで減少しています(※1)。

道路貨物運送業の運転従事者数の推移

画像引用:経済産業省「検討の背景②物流を取り巻く現状と課題

2030年には2015年から3割減少して51.9万人になると予測されており、人材確保のために待遇改善(賃上げや福利厚生の充実)が進んでいる状況です。待遇改善にともなう人件費の上昇は輸送費に転嫁され、物流費の上昇につながっています。

※1 参考:経済産業省「検討の背景②物流を取り巻く現状と課題

小口配送の多頻度化

ネット通販の普及に伴い小口配送が多頻度化していることも、物流費上昇の原因です。

小口配送は、一つの配送先に対して少量の荷物を届けるため、トラック1台に積載する荷物量が減り、積載効率低下につながります。一度の配送で運べる荷物量が少ないと配送頻度が増えるため、燃料費や人件費、有料道路料金などのコスト増加につながっています

※1 参考:経済産業省「検討の背景②物流を取り巻く現状と課題

物流費は高騰している?過去20年の推移

公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会の「物流コスト調査報告書」によると、売上全体に対する物流費の比率は、過去20年間で以下のように推移しています。

売上高物流コスト比率の推移

出典:公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会「物流コスト調査報告書【概要版】

2024年度の売上高に占める物流コスト比率は5.44%となり、前年度から0.44ポイント増加しました(※1)。過去20年間で見ると、2021年度(5.70%)に次ぐ高水準です。

2022~2023年度には一時的に減少しましたが、2024年度は物流事業者による運賃値上げが本格的に浸透し、企業側のコスト負担が増加しています。日本ロジスティクスシステム協会の調査によると、調査対象企業の9割以上が物流事業者からの値上げ要請を受け、そのうち約97%が要求に応じたと回答しています(※1)。

また、燃料価格や自動車関連費用が上昇傾向にあり、ドライバー不足解消のために人件費が高騰している状況です(※2)。このような背景を踏まえると、今後も物流費(とくに人件費)は増加していくと予想されます。

※1 参考:公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会「物流コスト調査報告書【概要版】
※2 参考:経済産業省「検討の背景②物流を取り巻く現状と課題

2024年問題による物流費への影響

物流の2024年問題とは、働き方改革関連法により2024年4月から自動車運転業務の時間外労働が年960時間までに規制されたことで物流の停滞が懸念される問題です。

物流費には輸送費だけでなく保管費や資材費なども含まれますが、この2024年問題で最も大きな影響を受けるのは輸送費です。

時間外労働の上限規制によって考えられる物流費への影響には、以下などが挙げられます。

  • 荷物がスムーズに配送できなくなり、配送までの管理費・保管費がかかる
  • これまで通りの配送継続のためにドライバーの確保が必要となるため、給与を上げざるを得なくなり人件費が上昇する
  • ドライバー不足や輸送力の低下により輸配送単価が上昇する
  • 時間外労働時間や休憩時間の規制強化により、これまでドライバー一人で長距離輸送していた貨物を二人でリレーして輸送することになり、その分がコスト増になる

2024年11月の内閣府の発表によると、輸送力不足や人件費の上昇によって物流費が高騰している実態が明らかになっています。

  • 中小企業の84%が「2024年問題によるマイナスの影響がある」と回答し、そのうち90.5%が「物流コストの増加」を最大の影響と回答
  • 人手不足の深刻化を示す「雇用人員判断DI(日銀短観)」がマイナス55であり過去最悪水準
  • 2024年9月に、実運賃の指標である「成約運賃指数」が過去最高を更新
  • トラック運送業の価格転嫁率が、2023年3月の21.1%から2024年3月には32.2%に上昇

2024年問題が物流業界に与える影響は大きく、物流企業は荷主企業に対し、運賃を値上げする方向で適切に価格転嫁を進めないことには、業界全体で利益が減少する恐れがあります。

荷主企業にとっては、単に物流費を押し下げることを考えるのではなく、輸送の効率化や、取引先企業・一般消費者への価格転嫁といった大きな流れを作り出していくことが大切です。

参考:公益社団法人全日本トラック協会「知っていますか?物流の2024年問題

物流費を削減する方法

物流費を削減するためには、以下6つの方法が有効です。

  • 物流管理システムを導入する
  • 物流拠点を集約する
  • 積載率を向上させる
  • 過剰包装を行わない
  • 物流代行サービスを活用する

自社に合った方法を取り入れ、物流費削減の対策に取り組みましょう。

物流管理システムを導入する

商品の仕入れ・保管・配送までの一連の物流業務を、物流管理システムを活用して行うことで物流費削減が見込めます。

物流管理システムには、大きく分けて倉庫管理システムと輸配送管理システムの2つの種類があります。

種類特徴
倉庫管理システム
・倉庫内での入出庫管理に特化
・倉庫作業者の人員管理も可能
・バーコード読み取りやラベル発行機能などで在庫管理が可能

輸配送管理システム
・配車や配送進捗など輸配送管理に特化
・トラックの手配や配送ルート設定、運賃計算、配送追跡による進捗管理などが可能

大量の荷物の入出庫管理や日々の配送の進捗管理などをすべて人の手で行うと、多くの工数や人件費を要します。

しかし、物流管理システムを導入すれば、配置する人員を最適化でき人件費削減につながります。

物流拠点を集約する

物流拠点が各所に点在していると、拠点ごとに倉庫の維持費や人件費がかかってしまうため、集約するのも一つの選択肢です。

たとえば以下のような見直しにより、物流費削減につながります。

  • 在庫数に対して倉庫が大きすぎる場合、他の在庫数が少ない拠点と集約する
  • あまり稼働しない倉庫が複数点在している場合、稼働率がよい倉庫と集約する
  • 倉庫が小さいために在庫が入りきらず近場に倉庫を複数配置している場合、規模の大きい倉庫に集約する

積載率を向上させる

物流費削減には、積載率を向上させることも重要です。輸送効率が上がり、人件費や燃料費の削減につながります

積載率を向上させるには、たとえば以下のような方法が有効です。

  • トラックの運行状況を管理し、配送ルートや配送時間帯の見直しを図る
  • 帰り便に荷物が積載できないかを検討する
  • 共同配送の可能性を探る

効率的な輸送を選択し、積載率を向上させましょう。

過剰包装を行わない

過剰包装を行わないようにすることで、梱包費を削減できます。梱包費を抑える方法には、以下などが挙げられます。

  • 商品形態に合わせた梱包箱を設計し、緩衝材の使用を減らす
  • 耐久性を必要としない商品は、宅配袋を使用し簡易包装にする

過剰包装の見直しは費用削減だけでなく、環境配慮の観点からも必要な取り組みです。

物流代行サービスを活用する

物流代行サービスの利用は、物流費の削減に有効です。自社で物流を運営する場合、出荷数物量が少なくても一定の人件費は固定でかかりますが、物流代行サービスを活用すると費用の最適化につながります

物流代行業者には、商品の入荷・検品や在庫管理、出荷などの一連の物流業務を委託できます。企業向けのBtoB物流サービスや、一般消費者向け配送のEC物流サービス(BtoC)があるため、自社業務に適したサービスを取り入れましょう。考慮して適切なルートを設定しましょう。

物流費を見直し社内の費用削減につなげよう

物流の2024年問題を踏まえ、物流費の削減は物流業界の課題となっています。物流管理システムの活用により作業を効率化させたり、作業を見直して最適化したりすることで物流費削減が可能です。

自社で対応が難しい場合は物流代行サービスもうまく取り入れ、費用削減に努めましょう。

SBフレームワークスではお客様の課題に応じてさまざまなご提案・ご支援が可能ですので、お気軽にご相談ください。

\出荷量に応じて最適コストを実現/

監修者プロフィール

玉橋丈児

SBフレームワークス マーケティング/広報

玉橋 丈児

物流×輸配送×テクニカルソリューションで、お客様の課題解決を目指すSBフレームワークスのマーケティング担当。テクニカルソリューション分野での実務経験を活かして、弊社のサービスや、業界の話題などを解説いたします。物流技術管理士補。

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