EC物流とは?市場規模の推移や課題についても解説

監修者プロフィール

SBフレームワークス マーケティング/広報
玉橋 丈児
物流×輸配送×テクニカルソリューションで、お客様の課題解決を目指すSBフレームワークスのマーケティング担当。テクニカルソリューション分野での実務経験を活かして、弊社のサービスや、業界の話題などを解説いたします。物流技術管理士補。
EC物流とは、スマートフォンやPCなどで購入した商品が顧客の手元に届くまでの、ECサイトにおける物流プロセスのことを指します。
ECサイトを運営するにあたり、EC物流は顧客満足度や利益率などに直結する重要な要素です。EC物流への理解を深めておかなければ、ECサイトの円滑な運営が難しくなるでしょう。
この記事では、EC市場規模の推移や、EC物流が抱える課題とその解決方法などについて解説します。
なお、EC物流に関する悩みがある場合は、ぜひSBフレームワークスにご相談ください。売上拡大のためのコア業務に専念いただけるよう、物流作業に関する課題を洗い出し、改善策を提案させていただきます。
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目次
EC物流とは

EC物流とは、オンラインで注文された商品を顧客に届けるための物流プロセス全体を指します。具体的には、以下の物流業務が含まれます。
- 商品の仕入れ
- 商品の保管
- 梱包・出荷
- 商品の配送
- 商品情報の管理
- 返品処理
EC物流は、商品を顧客に届けるための重要な役割を担っています。配送ミスや配送遅延が起きると顧客の信頼を失い、売上の低下につながる恐れがあります。
ECビジネスを安定して成長させるためにも、EC物流の仕組みを正しく理解し、必要に応じて適切な改善策を講じましょう。
EC物流業務の流れ

EC物流の業務工程は、以下の5つのステップに分けられます。
- 入荷・検品
- 商品管理
- ピッキング・流通加工
- 梱包・出荷
- 返品対応
それぞれの工程について詳しく解説します。
1.入荷・検品
EC物流は、商品を入荷するところから始まります。在庫数や売上データをもとに、どの商品をいつ・どのくらい入荷するかを見極めて仕入れなければなりません。
商品が届いたら納品伝票と照合しながら内容や数量、規格などに誤りがないか、商品の状態に問題がないかなどの検品作業を行います。
2.商品管理
入荷・検品が済んだ商品は、倉庫に保管します。正確に在庫を管理するために、入荷した商品をバーコード登録して在庫管理システムで管理し、四半期や半期ごとに棚卸を実施します。
また、保管環境に配慮が必要な商品もあるため、商品特性に合わせて常温・定温・冷蔵・冷凍など適切に管理しなければなりません。
3.ピッキング・流通加工
商品の注文が入ると、出荷伝票にもとづいてピッキング作業を行います。
ピッキング作業に時間がかかり出荷作業に遅れが発生すると、商品到着の遅延につながってしまうため、商品を取り出しやすいように管理して効率良くピッキングすることが大切です。
この際、商品への名入れ・刻印やギフト包装、詰め合わせ包装などの、顧客の要望に合わせた流通加工を行う場合もあります。
4.梱包・出荷
ピッキング作業が終わったら、商品サイズに合った段ボールや封筒に商品を梱包します。梱包の際に、ピッキング内容が正しいことを確認する「出荷検品作業」を行う場合もあります。
配送時の衝撃や揺れで商品が破損しないように、商品ごとに梱包順を工夫したり、適切な緩衝材を使用したりするなどの配慮が必要です。
商品の梱包が完了したら、配送伝票を作成して運送業者に引き渡します。
5.返品対応
EC物流では、顧客の事情や商品の破損などにより、返品を求められるケースも少なくありません。
返品対応が適切でないと顧客の信頼を失い、悪い評価につながる場合もあります。マニュアルを用意し、迅速かつ誠実に対応できるようにしておく必要があります。
EC物流の特徴

EC物流には、以下の特徴があります。
- 小口の注文が多い
- ラッピングや同梱など個別対応が求められる
- 受け取りやすさや迅速な配送が求められる
- 顧客とのコミュニケーションが大切である
それぞれの特徴について詳しく解説します。
小口の注文が多い
EC物流は、企業と一般消費者の取引(BtoC)が主流です。企業間の取引(BtoB)に比べて、注文1件あたりの商品数が少ない小口注文が多い点が特徴です。
扱う商品数が多く、1点からでも注文できるサイトがほとんどであるため、商品管理が不十分だと発送作業の負担が増えてしまいます。
個別対応が求められる
BtoCのECサイトではプレゼント対応の需要が多く、ギフトラッピングやメッセージカードなどの個別対応が求められます。
また、化粧品や健康食品など定期購入されやすい商品では、購入金額や会員ランクに応じてノベルティや同梱物を変えるなどの個別対応を実施する場合もあります。
受け取りやすさや迅速な配送が求められる
EC物流では、商品の受け取りやすさや迅速な配送が重視されます。
近年、顧客のライフスタイルやニーズの多様化に伴い、商品の受け取り方も選択肢が広がっています。ポスト投函や置き配、コンビニ受け取りなど、配送方法への柔軟な対応が必要です。
また、顧客は迅速な配送を求めているため、効率的な在庫管理や配送業者との連携が重要です。
顧客とのコミュニケーションが大切である
EC物流では、顧客とのコミュニケーションが大切です。
注文の確認や配送状況の共有、返品・交換プロセスのサポートなど、顧客とのコミュニケーションをスムーズに行うことで、顧客満足度を高められます。
ECサイトでは実際に商品を見てから購入できないため、実店舗よりも返品・交換が発生しやすい傾向にあります。そのため、返品・交換の手続きを簡素化して迅速に対応できる仕組みを整えておきましょう。
EC物流の品質向上を重視すべき理由

ECサイトを運営するうえで、物流の品質を向上させることは非常に重要です。EC物流の品質向上を重視すべき理由は以下のとおりです。
- 顧客満足度の向上につながるため
- 利益率に影響があるため
- 競合との差別化につながるため
それぞれの理由について詳しく解説します。
顧客満足度の向上につながるため
EC物流の品質は、顧客満足度に大きく影響します。
配送遅延や誤配送などのトラブルが生じると、顧客から信頼を失いリピート購入の機会減少や、悪いレビューの投稿につながる可能性があります。
顧客満足度を高めるためには、顧客がストレスなくネットショッピングを楽しめるよう、迅速かつ正確に商品を届けなければなりません。
利益率に影響があるため
物流にかかるコストは、ECサイトの利益率に影響します。
近年、配送量の増加や運送業界の人手不足により、配送コストは上昇傾向です。とくにBtoCのEC物流においては商品の種類が多く、それらを管理するため倉庫を確保・維持する必要もあるため、コストが高くなりがちです。
物流プロセスの効率化や人件費の最適化、適切な在庫管理などEC物流の改善に取り組むことで物流にかかるコストを抑えられるため、利益率の上昇につながります。
競合との差別化につながるため
物流の品質は、ECサイトの競争力にも大きく関わります。顧客のニーズに合わせて配送オプションを充実させ、顧客の幅広いニーズに応えることで、競合との差別化を図れます。
リピート購入につなげるためには、ギフト対応や受け取り方法の多様化、迅速な配送などに取り組み、顧客の利便性を高めることが大切です。
EC市場規模は年々拡大している

近年、日本国内のEC市場規模は拡大し続けています。経済産業省が実施した調査によると、2023年のBtoC‐EC市場規模は、24兆8,435億円です。前年の22兆7,449億円から2兆986億円(前年比9.23%)増加しています。

画像引用:経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」
BtoB‐ECの2023年市場規模は、465兆2,372億円です。前年の420兆2,354億円より45兆18億円(前年比 10.7%)増加しました。EC化率40%と、商取引の電子化が進んでいます。
EC市場規模の拡大の背景には、スマートフォンの普及・高性能化や決済手段の多様化が挙げられます。BtoC‐EC・BtoB‐ECともに、2014年から市場規模が継続して拡大していることを踏まえると、ECビジネスは今後も引き続き成長が見込まれるでしょう。
EC物流の課題

EC市場規模が拡大する一方で、EC物流には以下のような課題があります。
- 物流の2024年問題により配送スピードが低下する可能性がある
- コストを最適化しづらい
- 業務が煩雑化しやすい
- 人員のマネジメントが難しい
- 情報セキュリティ管理が難しい
それぞれの課題について詳しく解説します。
物流の2024年問題により配送スピードが低下する可能性がある
EC業界では、現在EC市場規模が拡大する一方で、物流の2024年問題により配送スピードが低下することが懸念されています。
物流の2024年問題とは、2024年4月施行の改正労働基準法によりトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制が適用されたことで、物流の停滞が懸念される問題です。
時間外労働時間の上限規制により、ドライバーを拘束できる時間が減少すると、従来は一人のドライバーが担当していた配送を複数のドライバーで分担して行う必要が生じます。これにより、長距離輸送や迅速な配送が今まで通りにできなくなり、商品の配送に時間がかかる可能性があります。場合によっては、一部地域への配送ができなくなることもあり得るでしょう。
即日配送に対応している場合は、サービスの提供終了を検討する必要も出てきます。
コストを最適化しづらい
EC物流には作業工程・人員・在庫などの管理項目が多く、コスト面で課題を抱えているケースも少なくありません。EC物流にかかる主なコストは、以下の5つです。
- 人件費
- 保管費
- 配送費
- 資材費
- 設備・システム費
EC物流では、顧客の手元に商品が届くまでのスピードが重視されており、短時間でピッキング・梱包作業をするために多くの人手が必要です。そのため人件費がかさんでしまいます。
また、多くの商品を管理するためには、倉庫スペースを維持・管理する費用も必要です。
さらに、運送業界の人手不足により、運送費自体が高騰していることもEC物流のコスト上昇に影響しています。
業務が煩雑化しやすい
BtoCが一般的なECサイト運営では、さまざまな顧客のニーズに応える必要があるため、業務が煩雑化しやすい傾向にあります。
また、取り扱う商品の種類が増えるほど在庫管理の難度が上がります。大量の余剰在庫や欠品が発生しないように幅広い商品をリアルタイムで管理し、倉庫内の動線を考慮してピッキングしやすいように配置しなければなりません。
人員のマネジメントが難しい
人員のマネジメントもEC物流の課題の一つです。取り扱う商品によっては、繁忙期と閑散期の業務量の差が激しく、適切な人員の確保が難しいことも少なくありません。
注文が殺到する繁忙期は人手不足に陥り、配送の遅れやミスなどが発生しやすくなってしまいます。とはいえ、繁忙期に合わせて人材を確保すると、人件費がかさみ利益が得られにくくなります。
情報セキュリティ管理が難しい
EC物流では、多くの顧客の個人情報を取り扱うため、情報セキュリティ管理を厳重に行わなければなりません。
万が一、顧客の個人情報が流出してしまうと顧客からの信頼を失ったり、責任を問われたりして事業を継続できなくなる可能性があります。
EC物流の課題を解決する方法

EC物流に関する課題に対する解決方法には、以下が挙げられます。
- 作業をマニュアル化する
- EC物流代行サービスを活用する
- 物流管理システムを活用する
それぞれの内容について解説します。
作業をマニュアル化する
作業内容をできるだけ単純化してマニュアルを整備しておけば、誰が実施しても同じ品質を保てるため、業務の標準化を図れます。
繁忙期に新たに人材を雇用する場合でも、マニュアルが整備されていればスムーズに業務を遂行できるでしょう。
EC物流代行サービスを活用する
EC物流を運営するためのノウハウや人手が不足している場合には、EC物流代行サービスの活用が有効です。
EC物流の専門的な知識と経験をもつプロに物流業務全般を委託すれば、業務の効率化が進み、社内リソースをコア業務に集中させられます。その結果、コスト削減も見込めます。
また、EC物流代行サービスを活用することで、時期による業務量の差にも柔軟に対応が可能です。
物流管理システムを活用する
EC物流の課題の解決には、物流管理システムの活用も有効です。
物流管理システムとは、商品購入から配送までの一連のプロセスを管理・最適化するためのシステムです。在庫管理や商品のピッキング・梱包、配送を効率的に行うためのサポートとして活用できます。
物流管理システムを活用するメリットは、以下のとおりです。
- 手作業によるミスや時間のロスを減らせる
- 作業効率が上がり、人件費を削減できる
- リアルタイムで在庫や配送状況を把握でき、在庫管理や顧客への情報提供がスムーズに行える
物流管理システムを活用して人の手が介入する作業を減らすことで、業務の効率化につながります。
SBフレームワークスの物流管理システム「ec-NaviLinks」では、商品の出荷作業進捗や在庫状況など、各種データをリアルタイムでご覧いただけます。現状の課題の改善策も含めてご提案可能なので、まずはお気軽にご相談ください。
EC物流の効率化に成功した弊社事例

最後に、弊社のEC物流サービスを利用してEC物流の効率化に成功した事例を紹介します。
BtoCとBtoBの倉庫の集約によりコスト削減とリードタイムの短縮を実現|株式会社OSM International様
株式会社OSM International様は、代理店事業とスポーツライセンス事業を中心としたビジネスを展開しているスポーツビジネスの総合商社です。
以前はBtoC物流とBtoB物流とで、それぞれ別に倉庫を借りていました。しかし、BtoC販路とBtoB販路では同じ商品を取り扱っているため、どちらかの販路で在庫が足りなくなった際には、倉庫間で在庫を移動させるケースがありました。
販路別の在庫管理によるリードタイムの増加などを解消し効率化を図るために、BtoCとBtoBの倉庫を集約。倉庫の集約により在庫の移動にかかる費用や時間を削減できました。さらに、保管場所を集約したことで保管費用の最適化にもつながりました。
BtoCとBtoBのEC事業を展開している場合は、このように倉庫の集約も検討してみるとよいでしょう。
参考:SBフレームワークス株式会社「BtoCもBtoBも。倉庫をまとめて一元管理ができました」
eコマースの物流を委託して物流作業の負担を軽減|株式会社TFN様
株式会社TFN様は、eコマース事業や電気通信事業などのビジネスを展開している事業者です。業績が伸びるにつれてeコマース事業の物流作業の負担が増えたことから、弊社にご相談いただきました。
弊社のEC物流サービスを通して、商品の保管・在庫管理やピッキング、出荷などの一連の物流作業を委託。その結果、仕入れや商品撮影、販売戦略の策定など、eコマースのコア業務に集中できるようになりました。
モバイル型のWi-Fiルーターのレンタル事業を新たに開始するなど、事業拡大にもつながっています。
参考:SBフレームワークス株式会社「物流を任せることで事業拡大に専念できました」
EC物流を効率化して売上アップを目指そう

ECサイト運営において、EC物流は顧客満足度向上や利益率に影響する重要な要素です。
EC物流では、スムーズな配送やさまざまな顧客ニーズへの対応が求められるため、業務が煩雑化しやすく、コストや人材マネジメントなどの課題を抱えています。
これらの課題を解決してEC物流を効率化するためには、EC物流代行サービスや物流システムの活用が効果的です。自社に合ったサービスやシステムを導入し、効率的な物流体制を構築することで、売り上げアップにつなげましょう。
\年間70万箱以上の出荷実績にもとづき提案/
監修者プロフィール

SBフレームワークス マーケティング/広報
玉橋 丈児
物流×輸配送×テクニカルソリューションで、お客様の課題解決を目指すSBフレームワークスのマーケティング担当。テクニカルソリューション分野での実務経験を活かして、弊社のサービスや、業界の話題などを解説いたします。物流技術管理士補。
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